「来た来た来たぜぇ!!」
届いた封筒を持って自室に駆け込む。
「………」
洋平は届いた封筒を開けて、中身を確認した。
「また…、落ちた…」
”今回、第17回「アマチュア爆笑オフロード」オーディションへご参加ありがとうございました、残念ながら今回は「不合格」と…”
「お、おかしい…!この間教室でやったときは大爆笑やったネタやぞ…!」
洋平は何度、この苦渋を味わってきただろうか。
「やっぱり、俺、才能あらへんのかな…?」
洋平は諦め気味に届いた封書をゴミ箱へほうり投げた。
”アマチュア爆笑オフロード”とは地元で行われるお笑いのイベントだ。
この舞台で、優勝したアマチュア芸人はプロになれるかもしれないのだ。
何せ、主催が大手芸能事務所、”ヨシプロ”なもんだから、使えると判断された芸人はプロへとスカウトされるのだ。
洋平は5回連続で、オーディションを受けていた。
中学生時代から応募し続けていた。
だが、ことごとく、「不合格」の烙印を押され続けてきたのだ。
それもそのはず、洋平の主なネタは下ネタばかりだったからだ。
それと、関西人でもないのに下手な関西弁を使うのが、審査員の評判を落としていた。
「あぁ~、相方見つけてコンビでも組まなあかんかなぁ…、でも俺に釣り合うような相方なんておるわけないがな…」
洋平はベッドに横たわりながらため息を付いた。
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「おっす!洋平!どうだ?アマチュア爆走ロード受かったか?」
朝、学校へ登校してる途中で声をかけられた。
「大輔か…、あかん。また落ちた。それと爆走ロードやなくて爆笑オフロードな…」
「あぁ、そうそう、爆笑オフロード!」
大輔がはっはっは!と笑った。
こいつは大輔、同じ高校のクラスメートだ。
いつも何かにつけて爆笑している。
「それとよ、今月のショッピングモールのイベントにまた出るんだろ?」
「あぁ、今度は大爆笑をさらってやるわ!」
この地域の大型ショッピングモールでは、毎月アマチュア芸人を集めて、勝負させている。
勝敗は、客が面白いと思った芸人に一票入れるという方式で、審査員は5票分の得点を持っている。
このイベントで優勝すれば、そのショッピングモールにあるテナントどこでも使える券5000円分もらえるのだ。
「まぁ、”とんがりブーツ”には勝てないと思うけどな」
また大輔ははっはっはと笑っている。
”とんがりブーツ”とはボケとツッコミ両方担当の辺見とただ立っているだけの面白フェイス、多田のコンビだ。
実際何度も優勝してて、その新しいスタイルは目をひくものがあった。
そういや、とんがりブーツの二人は爆笑オフロード合格したんかな?
洋平が思った。
爆笑オフロードのオーディションのとき、とんがりブーツの二人を見た。
「それにしても先月のイベントは酷かったなぁ…、ぷっ!『我輩はオナニー伯爵である…』だって」
大輔はぎゃっはっは!と爆笑し始めた。
審査員も客もこいつくらい爆笑してくれればいいのに…。
洋平はそう思った。
そう、案の定、スケートリンク状態だった。
「あ”ぁ”!あかんあかん!もうこうなったら芸風を変えるしか…」
「はっはっは、まぁ、頑張れ」
ポンと肩を叩かれた。
-学校-
学校へ着いてからはネタ作りの時間だ。
授業なんて聞いちゃいねー。
「この間…、オトンが野球中継を見ながら…ウンコをつまみにビールを…」
スカトロネタだった。
「あ”ぁ”-!アカンアカン!こんな下ネタじゃまたスベるにきまってらー!!」
スカトロネタの紙をぐしゃぐしゃと丸めてポイッっとゴミ箱に放り投げた。
「はぁっ…、俺には下ネタの神様でも付いとんのか…?」
「こら、洋平!うるさいぞ!」
「すいまセンズリ!」
おまけに怒られる始末。
-休み時間-
「はぁっ…。一体どうやったら普通のおもろいネタが書けんねん…」
ふと、教室を見渡してみた…。
女子が隣のクラスのイケメン君の話を楽しそうにしている。
「俺もイケメンに生まれれば、多少の下ネタでも笑ってくれるんやろうなぁ…」
ただ、洋平の下ネタは”多少”とは言いがたかった。
他には大輔がなにやら楽しそうにクラスメートと喋っていた。
「でさ、でさ、そのオバさんが犬のウンコを片付けようとしたら、犬がウンコに砂かけてそれ片付けようとしたオバさん顔面砂だらけにされてたんだよ!はっはっは!」
聞いていた連中に笑いが起こる。
「その話、どこがおもろいねん…」
しかし、笑いがあるところに我あり…。
「そういえばさぁ、この間深夜にトイレに起きたとき俺見ちゃったんだけどさ…、オトンがなにやら冷凍庫開けてガサゴソしてるから何しとんのかなぁ~思て良く見てみたんよ。そしたら、中ぐらいのタッパ取り出してな、それをおもむろに空けてレンジでチンしてから、それをつまみながらビール飲んでたんよ。そんで次の日、オトンどんだけ美味いモン食うてんねやろと思って、こっそり冷凍庫開けてそのタッパ空けたらウンコ入っててん!実はウチのオトンスカトロ趣味やったんやぁ~、思うて自分の部屋で泣きながらこの事は墓場まで持っていくって心に誓ったんや…」
颯爽と、洋平は大輔を跳ね除け、負けじとウンコトークを披露した。
当然、全部ウソだ。
クラスメートは笑ってた。
「お前の親父スカトロ趣味なのかよ、ひっひっひ!」
「えらいもん見ちまったな、ぎゃはっはっは!」
「ていうかそれもう趣味としてじゃなく、つまみとして楽しんでるじゃん!」
フン、どんなもんや…。
「っていうか、お前墓場まで持ってくって言って、今、こんな大勢の前で言っていいのかよ!親父さん報われねーな!はっはっは!」
大輔が更に話を広げたのも手伝って更に爆笑してた。
これは…?大輔が話しを広げてくれた?っていうかツッコミ?ここの話を広げてくれれば…!
「ん?どうした?洋平」
「いや、一応オトンには断ってきたんよ、オトンの趣味皆に教えたってええかぁ?って。そしたら釣りのことだと思ったんやな…、快くOKしてくれたわ」
「親父さーん!誤解してますよー!知られたくない趣味暴露されてますよー!はっはっは!」
更に笑いが大きくなる。
それを聞きつけた他のクラスメートまで俺たちの周りに集まって話を聞いていた。
「いや、でも、俺、一つだけ引っかかんねん」
「ん?何に引っかかってるんだよ?」
「アレは一体誰のウンコやったんかなぁ…って。味からしてオカンのとは違うねん…」
「食ったのかよ!しかも母親のも食ったことあるのかよ!はっはっは!」
「食うたよ、チンしてから食おうか、常温解凍かで、迷ったけどな」
「そんなもん洋平のさじ加減一つだろ!はっはっは!」
皆が爆笑してる!!
今まで、散々俺を嫌煙してた女子までもこんなウンコトークで笑ってくれてる!
これは遂に俺の時代の到来かぁ!?
すると、一人のクラスメートがこう言った。
「いや、大輔のツッコミおもしれーよ。洋平の話だけだったらややウケくらいだったけど、大輔のツッコミで大爆笑だよ」
「だな。あんなしょーもないウンコネタを上手くツッコんでるよな。しかもアドリブで」
何故か皆、大輔を褒めていた。
いやいや、ここの手柄は俺のモンやろ!
「え~、そんな事ないってば。はっはっは!」
この野郎は爽やかに笑いやがって!
そうこうしてるうちにチャイムが鳴ってしまった。
帰りのHR前でも洋平はボケまくる。
黒板にイタズラ書きされたち○こを指差して、「誰や!俺のイチモツをこんなにリアルに模写したのは!!」
「いや、洋平のってこんな書きなぐられたようなやつなのかよ!はっはっは!」
クラスが爆笑する。
くそっ!大輔のヤツ!余計な事いいやがって!!
これは俺単独でも十分笑いがとれるっちゅうねん!
洋平は何故か大輔に対してライバル心を燃やしていた。
「くっ!今日はこの辺で勘弁したるわー!」
「何の話だ?、まだ帰りのHR終わってないぞー。はっはっは!」
「知るかボケェー!」
そして洋平は教室を飛び出していった。
「なんだぁ?どうしたんだ?洋平…。はっはっは!」
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「ちっ!何か今日は納得いかん日やったな…」
洋平はクラスメートの一人の言葉が頭から離れなかった。
『…大輔のツッコミおもしれーよ…』
くそっ!
そんじゃ俺の話は面白くねーってのかよ!
「へっ!あんなモンまぐれや偶然や!明日になったら分かるわ!俺はピンに命をかけとんのや!」
昨日まではコンビを組む事を考えていた洋平だったが、何故かピンに命をかけてることになっていた。
「まっとれよ、さわやか3組大輔ェ…、どっちがおもろいか明日証明してやるからなぁ…!」
洋平は闘志もメラメラと燃やしていた。
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今日のあとがき。
始めに、下ネタばっかですいません。汗
今回はお笑い芸人を目指す主人公の青春爽快ストーリー。
前回書いたバンドものと似た毛色になりそうですが、こっちもカッコ良く書きたいと思います。
ストーリー重視でお笑い部分は面白くないと思いますが、そこは勘弁して下さい。
またも、短編です。
今のところ続き書けれそうなのは、『始まりと終わりの物語』と『ドラゴンオーバードライブ』だけですね。
『わらべ唄の響く夜』は主人公殺されちゃってますし、『アスラの花』に限っては完全読みきりですし…。
まぁ、『わらべ唄の響く夜』は一から書き直すか、別シナリオ考えるかすればどうにかなりますね。
『アスラの花』は童話シリーズとして出来そうですがタイトルが変わっちゃいますね。
今のところ全部続き、もしくはシリーズものは書けそうですね。
さて、今回もタイトル付けなんですが、「お笑い」って分かりやすいタイトルを考えよう。
と、言う事で、タイトルを考えてたんですが、考える事15分。
思いつかず… orz
仕方ないので、無関係っぽいと見せかけて意味深なタイトルで…。
毎回こんなんで、すんません。
それでは、『少年ジャックナイフ』第一本目終わり。
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