『ボクの専属美容師』第四話。

新幹線の中で、色々と考えてみる。

そういや、家に連絡するの忘れちゃった…。

急に帰ったら家族はびっくりするだろうな…。

そう思って、ケータイを開いて、実家の電話番号を表示した。

電話をかけようとした瞬間にトンネルに入ってしまって圏外になった。

「…ま、いっか」

この際だから驚かしてやろうと思った。

ハサミ…持って来ちゃった。

もう美容師は辞めようと思ってたのに…。

そうこう考えてるうちに、実家の近くの駅へ到着した。

実家へ向かう途中で、絵里は周りを見渡した。

懐かしい景色が絵里を向かい入れてくれてるようだった。

「うぅ…、まだこっちは寒いや…」

そんな独り言を呟きながら、ようやく実家にたどり着いた。

「ただいまー」

…返事がない。

家へ入ると、誰も居なかった。

「そっか、工場の方か…」

そして絵里は工場へ向かった。

ガシャンガシャンと音を立ててる工場へ入って行くと、大きな声が聞こえた。

「なんだその頭は!」

何事かと、絵里は声のする方へ向かった。

父が一人の男の人に怒鳴りつけていた。

「す、すいません…」

「あ…、あの人!」

そう、あの男は昨日絵里に思いっきり奇抜な髪型にされた男だった。

「今日はいいから、床屋行ってもう少しまともな髪型にしてもらって来い!」

「は、はい…」

そして、男は振り返り、工場を出ようとした。

その時、絵里と目が合った。

男はペコリと会釈をし、工場から出て行った。

「お、お父さん!あの人は?」

「な、何だ絵里!帰って来たのか!?」

「それより、あの人!何でうちの工場にいるの!?」

「あぁ、人手が足りなくて社員を増やしたんだ。そんな事より、あいつの事知ってるのか?」

知ってるも何も、絵里の最後のお客さんだった。

職業柄、お客さんの顔は覚えるようになっていた。

「私、あの人の髪の毛切ってくる!」

「あ、おい、絵里…!」

絵里は父の言葉を最後まで聞かず、男の方へ走って行った。

 

***

 

ようやく追いついたところで、絵里は男に話しかけた。

「あのっ!すいません!」

「え?何ですか?」

「あ、私の事覚えてないですか?昨日美容室で…」

「あ!ボクの頭カットしてくれた人ですか!?」

「あの…、ごめんなさい…」

「あはは…、いいよいいよ」

「あの…、もう一度私にカットさせてもらえませんか?」

「また変な髪形にするつもり?」

「い、いえ…、今度はちゃんとします…」

「あはは、冗談だよ、じゃあお願いしようかな」

こうして、二人の奇妙な出会いは幕を開けた。

 

***

 

男は上半身裸で、風呂場に座らされた。

「ごめんなさいね、お風呂場しか場所無くて…」

「ここ美容室じゃないからねぇ…、それよりちょっと寒いね」

「すぐ済みますから、ちょっと我慢してください」

絵里は美容室から持ってきたハサミを取り出し、カットを始める。

「あの…、何でうちの工場へ?」

「あぁ、それは話すと長くなるんだけど…」

「教えてください」

「大学の求人募集にここがあったから」

「全然長くないじゃないですか」

二人して笑いあった。

そして、数十分後。

「はい、終わりましたよ」

「いやぁ、助かりました。ところでキミはどうしてこの工場に?」

「あ、ここ。私の実家なんです」

「へぇ、そうなんだ。今日は仕事休みなの?」

「…クビにされちゃいました」

絵里がぎこちなく笑う。

「あ…、悪い事聞いちゃったかな…」

「あの、ところでアナタのお名前は?」

「ボク?ボクは成田成一(ナリタ セイイチ)キミは?」

「私は三鷹絵里です」

「そうか、よろしく、絵里さん」

成一が手を差し出す。

「よ、よろしく」

そして、二人で握手をした。

 

***

 

「それにしても凄い偶然だよね」

工場へ向かう途中で成一が話しかける。

「え?」

「だってさ、見ず知らずの昨日カットしてくれた人の実家でまた再会するなんて普通ありえないよ」

成一は笑いながら絵里に話しかける。

「ふふ、そうね」

絵里も自然に笑みがこぼれる。

絵里は思った。

この人の笑顔はなんだか落ち着く。

そんな気分がした。

「おっと、もう工場に着いちゃった。それじゃ、絵里さん、また今度」

「今度って言ってもいつでも会えるじゃない」

「ははっ、それもそうだ、実家だもんね」

「またお父さんに怒られないかしら?」

「今度は怒られないさ。大丈夫!」

成一は笑顔で工場へ入って行った。

 

***

 

そして、数ヶ月の時が経った。

絵里と成一はしょっちゅう会っては、よく笑った。

そして、成一の髪の毛を何度も切ってあげた。

そのうち、絵里は成一に恋心を得るようになった。

絵里は成一の屈託の無い笑顔がとても好きだった。

でも、絵里は自分が成一のことを好きでも成一が自分の事を好きじゃなかったらどうしようと思い、中々告白出来なかった。

そんなある日。

「ねぇ、私達ってどういう関係なのかな?」

そう尋ねてみた。

そういうと成一は困った顔をした。

「う~ん、ボクは絵里さんのこと好きだよ?」

「え?」

あまりにもストレートな告白に絵里は戸惑った。

「わ、私も…、成一さんの事、好きかな…」

「じゃ、このまま付き合っちゃおうか?」

「う、うん…」

成一は笑みを絶やさなかった。

こうして、私と成一さんは付き合う事になった。

お父さんも成一さんの事を気に入っていた。

「いやぁ、始めはあんな髪形で入社するもんだからロクでもないヤツだと思ったが、真面目だし、仕事はよくこなしてくれる。あいつはいいやつだ」

そう言ってくれた。

 

***

 

そして、数年後。

仕事終わりの成一さんが、私に用があると行って、自宅から呼び出した。

私は何だろうと思い、成一さんについて行った。

成一さんは車を走らせ、夜景の綺麗な場所へ連れて行ってくれた。

「綺麗…」

「あのさ、絵里…」

「何?成一?」

「ボ、ボクの専属美容師になってくれないか?」

絵里は始め、何を言ってるのか分からなかった。

「え?何?どういう事?」

「…結婚しよう!」

成一は指輪を絵里に差し出した。

絵里は驚いた。

だが、それはとても嬉しい驚きだった。

「…えぇ!一生あなただけの美容師になってあげる!」

こうして、絵里と成一は結婚した。

結婚式には昔の美容師仲間も来てくれた。

「よっ!イケてるぜ、子猫ちゃん!」

「兄貴、そういう事はこういう場所で言う言葉じゃないと思うが…」

「ウチより早く結婚するとは先輩に対して失礼ちゃうの?」

「あはは、絵里ちゃん綺麗だねぇ」

恭介さん、俊介さん、静ちゃん、店長さん。

みんな来てくれた。

あの日、あの場所、あの時間に私があのヘアサロンに居なければこの出会いは無かった。

今では、みんなに感謝をこめて、この言葉を贈りたい。

ありがとう。

 

***

 

数年後。

私は今は成一さんの専属の美容師だ。

それと、もう一人…。

修太。

私達の息子。

夫とキャッチボールをしている息子。

「パパー!ママ眠っちゃったよ?」

「よし、修太。起こさないようにこっそり毛布をかけてあげよう」

 

私は、今、とても幸せです。

 

終わり。

 

***

 

今日のあとがき。

本編短けー!!

ってか、クビにしたヤツ結婚式に呼ばないよね、普通。

まぁ作り話だし、いいんじゃね?

っていうか、天空学園がネタ切れです。

なので、その繋ぎということで、不慣れな腐れ純愛ストーリーを書いてみました。

パロディやコメディは得意なんだけど純愛とかそういうのはクサいからイヤなんだよ。

自分で書いててちょっと恥ずかしいもん。

人工彼氏以来の恥ずかしさだよ、まったく。

さて、ケータイに載せるためには今までの作品をどれか消さにゃならん。

わらべ唄の響く夜でも消すか…。

あんま人気無いし…。

次はシェイク&スピアの2部を書きます。

ケータイの方で要望があったものですから…。

さて、奴等は元気にしてるかな?

お楽しみに。

それでは今日はこの辺で。

でわでわ~。

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『ボクの専属美容師』第三話。

空けたはいいが、誰もが中身を見ようとしない。

「きょ、恭介さんからどうぞ~…」

「お、俺はどうせ受かってるし、静から見ぃや」

「なんでウチやねん!ここは年功序列で響の兄ちゃんからやろ!」

「お、俺かよ…」

「ホラホラ!はよ中見ぃって!」

「う、わ、分かった…」

ガサガサと封筒から一枚の紙を取り出した。

「おぉっ、なんかドキドキすんな?」

「ご…」

「もしかして…」

「合格だー!」

「よっしゃ!幸先良いわ!このままウチも見たろ!」

静ががさがさと封筒から紙を一枚出す。

それを思いっきり私達に向けて見せる。

「どや、もちろん合格やろ?」

「あ…」

「あ…」

「なんや?どないしてん?もちろん合格やろ?」

くるっと紙を回して自分に向ける。

「ふ…不合格…」

「な、何でやねん!何がいけなかったんや!」

「そこに筆記試験に落ちましたって書いてあるぞ…」

「確かに筆記少し難しかったからね…」

「あぁ…、もうちょい勉強しとくんやった…」

「でもホラ、実技は合格だって!次からは筆記に集中できるよ!」

「あぁ…、そやな…。で、絵里はどうなんや?」

「あ、わ、私?私も多分落ちてるよ」

「せやせや、先輩のウチが落ちてんねんもん、そら仕方ないわ、どれ、見てやるわ」

バッと封筒を奪われた。

「ふんふん~、どれどれ~?」

ガサガサと封筒から一枚の紙を取り出した。

「えーっと、三鷹絵里…合格…」

「え?」

「やったな!」

「何でウチだけ落ちとんねん!」

私と恭介さんはハイタッチした。

「はは、おめでとう、二人とも。それじゃ、今日は二人の合格祝いでもしようか」

「店長のおごりだったよな」

「弟子におごらせる師匠がどこに居る」

こうして、私達は晴れて美容師になった。

外は秋風が吹き、木枯らしの舞う季節だった。

 

***

 

3年後。

私はお店で美容師として働いている。

自分の夢はここで終わりじゃない。

私は私の店を持つと決めていた。

そうそう、静ちゃんは今、実家の美容室で働いてるんだよ?

「静ちゃん居ないと静かですね…」

「静かと書いてうるさいと読むようなやつだったからな」

俊介さんが皮肉を言う。

「でもきっと実家の店でも騒いでますよ」

「ははっ、そうだね」

店長が寂しげに笑う。

「ところで、みんなに話しておきたいことがある」

店長が真剣な面持ちで、話し始める。

「今年をもってこの店を畳もうと思う」

「なっ!なんでですか!?」

恭介さんが詰め寄る。

「いやぁ~、親が心配になってね、実家の近くにお店開こうかと思ってるんだ」

「それならボクがこのお店を継ぎます!」

「俊介…」

「ここはボクに一から美容師のことを教えてもらった大切な場所です、そう簡単に畳ませませんよ」

そうだ。

私にとっても大切な場所だ。

俊介さんの実力なら大丈夫だろう。

「そうか、分かった、俊介。キミにこの店を預けるよ」

「ありがとうございます」

こうして、お店は俊介さんの手によって守られた。

 

***

 

3月。

ぽかぽかと暖かい天気の中で、私達はお客さんが来るのを待っていた。

「店長が辞めてから、常連さん…随分減っちゃったね」

「半分か…、いや、それ以上か…」

俊介さんは渋い顔をしていた。

「絵里ちゃん…今日、店閉めてから話があるんだけど…」

「は、はぁ…」

そうして、閉店後、私は俊介さんのところへ行った。

「あの…、話って?」

「あぁ、絵里ちゃんには悪いんだけど、今月いっぱいでこのお店を出てってもらいたいんだ」

「…え?」

「あぁ、もちろん退職金は出すよ」

「な、何でですか?」

「…今、この店は赤字続きなんだ、テナント料とか色々あってね」

「そ、そんな…」

「ボクも辛いんだけど…、分かって欲しい…」

「わかり…ました…」

こうして、私はこの店から去ることになった。

そして、この店で働ける最後の日、もう閉店時間も近づいたときに、お客さんが一人駆け込んできた。

「いらっしゃいませ」

椅子へと、お客さんを促した。

「どのようにいたしますか?」

「あ、あの、大人っぽくお願いします」

ボサボサ頭の男の人はこう頼んだ。

「かしこまりました」

その時、私の悪魔が囁いた。

(もうここから出てくんだから思いっきり奇抜な髪型にしちゃえ!)

そして、カットを始める。

男の人は鏡を見ながら、しきりに「大丈夫ですか?」と聞いて来る。

私は、そのたびに「任せてください」と言った。

男の人の髪型は昔の恭介さんがカットしたかのような髪型になった。

「あ、あの、この髪型大人っぽいですかね…?」

「えぇ、とってもお似合いですよ?」

あえて、大人っぽいと表現せず、お似合いだと言った。

「…ならいいか」

「お会計3500円になります」

そして、会計を済ませて、男の人は去って行った。

床を掃除しながら思った。

明日には私はもうここに居ないんだ…。

そう思うと涙が溢れてきた。

片手には片道の新幹線の切符が握られていた。

私は一旦実家に帰る事にした。

そこで、働けるお店を探そうと思った。

そう考えてると、奥から俊介さんが出てきた。

「…もう、お店閉めるけど…」

「はいっ!」

半泣きの私を見て、俊介さんがバツの悪そうな顔をしていた。

「それじゃ、今までお疲れ様でした。今月分の給料と、それと退職金…」

「お世話にひっぐ…なりまじた…」

涙交じりなので、上手く言葉を発せられない。

「ごめん、お店を守るにはこれしか方法が無くて…」

「おい、ホントにそれしか方法ねーのかよ?」

「兄貴は黙っててくれ、これは店長のボクの意思だ。それとも兄貴が辞めるか?」

そう言われると恭介さんは黙ってしまった。

「それじゃ、恭介さん、俊介さん、今までありがとうございました。それでは…」

そうして、店を後にした。

「あーぁ、この街とも明日でお別れかぁ…」

色んな思い出が蘇ってくる。

始めに弟子入りした事や、みんなで受けた試験…。

そういや合格祝いに静ちゃんってば自分は落ちたのに人一倍楽しんでたな…。

なんか、どうでもよくなってきちゃった。

明日からもうハサミは持つのをやめよう。

そう決意した。

 

続く!

 

***

 

今日のあとがき。

さて、ようやく次回からがスタートですよ。

今までのはプロローグ的存在。

プロローグ長ぇよ!

その代わり本編短いから心配ご無用。

いいのか?それで…。

 

今日の一言。

つよきす2学期が公式BBSで賛否両論ですねぇ…。

文句言うならプレイしてから文句言った方が良いと思うんだけどなぁ…。

まだ発表されただけで、面白いか面白くないか分からないんじゃ…。

タカヒロ氏以外のシナリオは糞って思ってる人は例外。

2ちゃんじゃないんだからあまり製作者の士気を下げる言動は控えた方がいいんじゃないかなぁ…。

まぁ、どうせ製作者も2ちゃん見てるんでしょうけど。

それでは今日はこの辺で。

でわでわ~。

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『ボクの専属美容師』第二話。

あれから2週間。

私達は毎日恭介さんと練習していた。

「ほぅほぅ、なるほどな…」

まず店長が見本を見せてから、私達に課題として、同じ髪型にするという課題だった。

「ほんなら、ウチからいくで~」

「わ、私も…」

「まぁまぁ、焦るな。ここは先輩のウチがやってからや」

「は、はぁ…」

静はハサミを取り出し、マネキンに向かってハサミを通す。

すると、店長が注意する。

「あぁ、ダメダメ!てっぺんはもっとボリュームを出さなきゃ!」

その横で、恭介はバリカンを使ってた。

「恭介ェ!やる気あるのか!?俺がいつバリカン使った!?」

店長が怒る。

「い、いやぁ。斬新かなと」

「いいか!?試験を通りたかったら俊介みたく、俺に忠実にやれ!」

こうして、毎日店が閉まってから練習した。

 

***

 

「おはようございます」

「おはよう、絵里ちゃん。今日は一番乗りだね」

「はい!早く店の前掃除して店長の技術を盗もうと思いまして…」

「そうか、いい心がけだね。でも手伝えることって言ったら…」

結局、店の中でも掃除させられてる私。

カットした髪の毛を一本残さす掃除する。

まぁ、店長や俊介君の技術が見れるからいいけど。

「そういえば、俊介君は正式に働いてるんですか?」

空いた時間に俊介に問う。

「あぁ、免許持ってるから正社員にさせてもらったんだよ」

「そうなんですか…、私も早く免許欲しいな…」

「何、ウチの兄貴ほどのセンスじゃなかったらすぐ取れるよ」

「お~い!聞こえてるぞ!俊介!」

お客さんにシャンプーをしながら恭介が話しに割り込んでくる。

「それはそうと筆記は勉強してる?」

「あ、はい。一応毎日少しずつ…」

「そう…、あの人は筆記は受かるんだけど実技がねぇ…、そんなに難しくないんだけど…」

「おめーの基準で話するなよ、俺にとっちゃ難関なんだよ!」

シャンプーを終えた、恭介が近づいてくる。

「それでは、こちらの席へどうぞ」

「本日はどのように…?」

俊介がお客さんに付いた。

「ちくしょう、俊介のヤツ、いらねー事ベラベラと喋りやがって…」

「なぁ~!誰か電話番変わってや~。暇や~」

よし、今度は俊介さんのテクニックを盗もう!

じーっと俊介さんの手元を見る。

鮮やかだった。

鮮やかに髪の毛を捌き、どんどん髪型が出来上がってくる。

もしかしたら店長より上手いかもしれない。

「う~ん、俊介も、もう店出せるくらいの腕はあるんだけどなぁ…」

「うわっ!店長!昼休みだったんじゃ…」

「ん?もう終わったよ?それよりなんで驚いてんの?」

「あ、いや、ほら、急に現れるから…」

もしかして店長より俊介さんの方が上手いんじゃないかなんて口が裂けても言えなかった。

そして、今夜も練習に励む。

 

***

 

「はい、それじゃ、こういう風にして?」

マネキンをテーブルの上に置き、見本として置いておく。

私達は一生懸命練習した。

来る日も来る日も毎日練習した。

そうして、遂に試験の日がやってきた。

「あぁ…キンチョーするわ…」

「なに、こんなもん慣れたらたいした事ねぇよ」

「これ慣れたらアカンのと違う?」

「と、とにかくみんなで一緒に合格出来るといいですね!」

「そやな…。響の兄ちゃんが問題やけど…」

「心配すんな、今度は落ちねぇ!」

そうして、三人で試験を受けに行った。

「あ、俺筆記パスしてるから、実技だけなんだよ、まぁ、筆記はラクだから頑張れ」

「はい!」

そうして、静と二人で筆記試験会場へ向かう。

「うわぁ、ぎょうさんおるなぁ…」

「東京だもんねぇ…」

「よっしゃ!気合入れてくでー!」

そうして、筆記試験後。

「静ちゃん、どうだった?」

「…アカン、絶対落ちたわ…」

「そんな、まだ分かんないよ」

「おーい、二人ともちゃんと出来たか~?」

恭介が近づいてくる。

「…アカン…アカン…アカン…」

「なんだ?もうそんな弱気になってんのか?問題は次だぜ?」

実・技・試・験!

「あぁ、どうしよう。私もこっちは自信ないよ…」

「今更どうこうしようと無駄だ、自分を信じろ!」

そうして、実技試験会場へ向かう三人。

実技試験終了後。

「よっしゃ!完璧!受かった!」

「うぅ~、実技もちょっとミスったわ…」

「私は…多分大丈夫…」

「こういうのは受かったって思った方が受かるんだよ!」

「でも響の兄ちゃんはそれで何回も落ちとんのやろ?」

「う…。ま、まぁいい。さっさと帰ろうぜ」

 

***

 

「お帰り~。どうだった?」

店長が笑顔で寄ってきた。

「もち完璧!」

「恭介の完璧は当てにならないからね」

「ちょ、ちょっと~」

「二人はどうだった?」

「どっちもアカンかったです」

「そう…、で絵里ちゃんは?」

「だ、大丈夫だと思います…」

「そうかそうか、それじゃ、合格してたらみんなでお祝いしようか」

「お、いいね。もちろん店長のおごりだろ?」

「当然だ。弟子におごられてたまるか」

「イヤッホー!」

と、恭介さんは喜んでいた。

そして、合格通知の郵便が届いた。

私は一人で空けるのが恐くて、未開封のままお店に持って行った。

すると、三人とも同じ事を考えていたようで、みんな未開封のまま合格通知を持ってきてた。

「へっ、みんな同じ考えかよ…」

「どうやらそうみたいやな…」

「そ、それじゃ空けるよ?…せーの!」

ビリビリ!

 

続く!

 

***

 

今日のあとがき。

ホントは美容師になるには学校を出てないとダメらしいけど、そんなの関係ねぇ!

合否も郵送なのか知らないけど、そんなの関係ねぇ!

実はメインは美容師関係じゃないからいいのだ。

うむ、いいのだ。

 

今日の一言。

何かさっきから家に穴空けられてる音がするんですけど。

ドリルでドルルゥンって。

かけてる音楽が全く聞こえないんですけど…。

家改造するって話聞いてないぞ?

それでは今日はこの辺で。

でわでわ~。

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『ボクの専属美容師』第一話。

「よーし、修太。パパの所までボール投げてごらん」

「うんっ!」

修太が思いっきり振りかぶってボールを投げる。

が、成一の所までは届かず、地面に落ちる。

「なんだ、修太。この前から全然進歩してないじゃないか」

「…だって」

「だって…。なんだ?」

「何でもない!」

修太がボールを拾って、成一の所まで投げる。

「ストラーイク!いいぞ、修太!」

キャッキャと騒ぐ、子供と夫。

「見たか!?ママ!修太がストライクとったぞー!」

「ふふ、そうね」

あぁ、なんて幸せなんだろうか。

辛い事もあったけど、私があの時、あそこに行かなければこんなに温かい家庭を築くことは出来なかっただろう…。

 

***

 

10年前。

実家の印刷工場で働くのが嫌で、ある決心をした。

私は美容師を志し、上京し、あるヘアサロンへ弟子入りした。

「きょ、今日からお世話になる三鷹絵里(ミタカ エリ)です。よろしくお願いします!」

「さ、みんな自己紹介して!」

店長がみんなに自己紹介を促す。

「よろしくね~、新人ちゃん。俺の名前は響恭介(ヒビキ キョウスケ)一応ここの一番弟子。古株ってやつ?」

「ただ試験落ちてるだけじゃねぇか」

もう一人が皮肉を言う。

「んだと!?俊介!テメー!免許持ってるからって調子に乗んなよ!」

「ボクは、響俊介(ヒビキ シュンスケ)一応、このチャライヤツの弟…」

俊介は兄を無視して自己紹介した。

「テメー!チャライとはなんだ!」

「こういう人だから無視していいから」

「あ、は、はい…」

「次はウチの番やな!ウチは斉藤静(サイトウ シズ)関西から上京してきてん。まぁアンタと同じような境遇やわ」

「よ、よろしくお願いします!」

「まぁ、そう固くなりなさんな!リラ~ックスしていこうや、リラ~ックス」

静が体をくねくねさせて妙な動きをしている。

「は、はぁ…」

「それじゃ、絵里ちゃんにはまず、店の前を掃除してもらおうかな」

店長が私に指示を出してくる。

「わ、分かりました!」

 

***

 

そうして、私は何日も何日も店の前を掃除し続けた。

いつ、カットを教えてくれるのを、今か今かと待ちわびながら。

しかし、一向に私にはカットは教えてくれなかった。

店の前を掃除し続ける事を命じられた。

そして、私はいつカットを教えてくれるのかと店長に聞いた。

そして、帰ってきた返事。

「ん?あぁ、ごめんね。三人には同時には教えられないからまず古い順に教えてるんだけど…」

「で、でも俊介さんは免許持ってるって!」

「彼はね、ボクのテクニックを見て覚えたんだよ。直接教えたわけじゃないんだけどね」

「そ、そうなんですか…」

「恭介なんだけど…、彼は飲み込みが悪くてね、こっちは一生懸命教えてるつもりなんだけど…」

店長が頭をぼりぼり掻きながら話す。

「じゃあ私にも見学させてください!」

「え、う、う~ん。いいけど…」

「ふっふっふ、抜け駆けは許さへんで…」

「し、静ちゃん?」

「ウチにも見せて~や、後輩が先免許取ったら先輩としてみっともないわ」

「静もか…」

店長はがっくりうなだれた。

「マネキンって結構高いんだよなぁ…」

店長がぼやいてた。

「それじゃ、お店閉めて9時にお店集合ね。あ、ちゃんとご飯食べてくるんだよ?」

「は、はいっ!」

こうして絵里はようやくカットの練習をさせてもらう事になった。

 

***

 

午後九時過ぎ。

小走りをして店へ到着した。

「はぁはぁ、ちょっと遅れちゃった」

時計を見つつ、ドアノブに手をかける。

「すみませ…」

絵里はドアに手をかけて入ろうとしたら、中から怒号が聞こえてきた。

「バカ野郎!ここシャギーしてどうすんだよ!」

店長の怒鳴り声だった。

ドアが半開きで、固まる私。

「す、すみません…」

謝る恭介。

「もう一度だ!」

失敗したマネキンを床に投げ捨て、もう一体を取り出す。

そこで、私に気付いた静が近づいて、ヒソヒソと話し始める。

「…こら、アカン。響の兄ちゃん完全にセンス無いわ。店長が怒るのも分かる気がするで」

「そうなの…?」

「まぁ、来てみぃって」

そうして、ようやく中に入れた。

「すいません、遅れました…」

すると店長はいつもの調子で話しかけてきた。

「遅刻だぞ、教えてあげないよ?」

「す、すいません…」

俯きながら謝ると、下には随分奇抜な髪型のマネキンがゴロゴロしていた。

「な?言うたやろ?」

ヒソヒソと静が話しかけてくる。

「あ、あはは…、ダイナミックではあるよね…」

「…アンタ、それ褒めてるん…?」

 

***

 

「よし!今日はもうここまで、明日に支障が出ないようにゆっくりやすむんだぞ!恭介、鍵頼むぞ」

「うぃっす…」

そうして店長は帰っていった。

「さ、今日はこれでお仕舞いだから、子猫ちゃんたちは帰った帰った。狼が出るぞー?」

「アホくさ…、響の兄ちゃんはギャグのセンスも二流やな…」

「うるせー!いいからさっさと帰れ!」

「響の兄ちゃんはどないすんねん」

「あぁ、後片付けしてからな」

「そうか、ほな、ウチら帰るわ、な、帰ろ、絵里」

「う、うん」

…結局見れなかったな、直接教えてる所…。

ふと気が付くと、持ってきたバッグが無い事に気が付いた。

「…あ、お店に忘れて来ちゃった…」

「何や?忘れモンか?」

「う、うん、静ちゃんは先帰ってて」

「ん、ほなな~」

そうして、店の前まできて、店の中の異変に気が付いた。

「恭介…さん?」

店の中では必死にマネキン相手にハサミを通す恭介が居た。

(どうしよ…、なんだか入りにくい雰囲気…)

それでも、財布が入ったバッグなので、入らなければならない。

(よし、思い切って行こう!)

ガチャリと、ドアを開けたら恭介と目が合った。

「あ、あはは、忘れ物…」

すっと店の中に入り、カバンを見せる。

「…見たのか…?」

「見たって…、何を?」

「ん、それでいい」

そうか、恭介さんは自分が才能が無い事を知ってて頑張ってるんだ…。

それに対して店長のハサミ捌きを見て覚えちゃった俊介さん…。

複雑な心境だろうな…。

そう思いつつ、帰路に付いた。

 

続く!

 

***

 

今日のあとがき。

純愛系にチャレンジ。

今回はおふざけ一切無しのマジ話にします。

今回二度目の女性主人公です。

さて、どうなる事やら…。

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『人工彼女』二人目。

朝、俺は嬉々として家を出た。

今日も伊崎さんとイチャつけるなんて夢のようだ。

すると、後ろから、地鳴りのような走り音が聞こえてきた。

「うらーー!綾ちゃんドロップキック!」

俺は振り返る暇も無く、地面に突っ伏した。

「いってぇな!コラ!」

「また、香織のこと考えてただろ!後姿でもオーラで分かったぞ!」

「お前は江原さんか!」

綾とは、家が近所なので、よく一緒に登校してたな、昔は。

何か久しぶりな気がする。

「きょ、今日は僕が弁当作ってきたからな!残さず食べろよ!」

「そういや、そうだったな、何が入ってるんだ?」

「ふふふ、それは空けてのお楽しみだよ…」

「き、貴様!まさか毒とか入れてないだろうな!青酸カリとか!」

「入れるわけねーだろ!…その好きな人に対して…」

後半は良く聞き取れなかったが、毒は入ってないらしい。

「べ、別に、修吾に食べてもらわなくてもいいんだぜ?他のヤツにやっても」

「おい!お前が弁当作るっていうから俺は弁当持ってきてねーんだぞ!」

「じゃあ、ありがたく頂けよな」

なぜ、コイツはこんなに偉そうなのだろうか?

伊崎さんとは大違いだぜ。

 

***

 

「おはよっ、修吾!」

「おはよ、伊崎さん」

「もぅ、その伊崎さんってやめてよ。香織でいいよ」

「そ、そうか…、おはよう。か、香織」

「うん、よし!」

伊崎さんはニッコリ笑った。

綾が冷ややかな視線を送りながら自分の教室に入っていく。

そして、授業も終わった。

…あれ?また…。

「どうしたの?修吾、放送委員の仕事あるんじゃないの?」

「あ、あぁ、そうだったな、それじゃ、行ってくるよ」

「いってらっしゃーい」

「新婚夫婦かお前らは!」

いつの間にか綾が教室のドアの斜によしかかっていた。

「か、かんけーねーだろ!オラ、さっさと行くぞ!」

「なんだよー!僕に対しては偉い違いだな!」

 

***

 

アニソンがかかっている放送室で俺は愕然としていた。

「どうだ?僕お手製の特製弁当は?」

弁当の中身は真っ黒に焦げたウインナーに、ぐちゃぐちゃの玉子焼き。

その他可哀想な食物が所狭しと詰められていた。

「遠慮すんなよ、さぁ、早く食え」

「お前は、俺にこれを食えと…?」

「ん?嫌いか?玉子焼き」

これを玉子焼きと言うこいつは凄いと思った。

 

「ぐぇ…、うぷっ…」

俺はせっかく作ってくれたのに全部食わないと悪いと思い全部食った。

「あっはっは!全部食うなんてそんなに美味かったか、それなら僕が毎日作ってやろうか?」

「いや、不味かったからもういい…」

「な、何だと…?」

「まじーんだよ!何だよ、これ!食い物じゃねーよ!」

「そ、そんな事…」

綾が放送機材をバンッと叩いた。

「そんな事言わなくてもいいだろ!」

「こんな不味いもん毎日食わされたら死ぬわ!」

「僕は…、僕は、修吾が好きだから…、香織に負けたくないから一生懸命作ったのに!」

綾が泣いている。

俺のことが好き?

綾は俺のことが好きだったのか?

ふと綾が叩いた放送機材が壊れてないか気になって見ると。

マイク:ON

「ぇ…」

綾の告白が全校放送されていた。

「あ、綾!早く切れ!マイクマイク!」

「マイク?アッー!」

 

***

 

放送時間も終わり、放送室から出なければならないのだが…。

「綾~、もう諦めて出ようぜ?」

「イヤイヤ!なんでよりによってあのタイミングで…」

「お、俺だって、綾の事嫌いじゃないぜ?」

うつむいていた綾がパッと顔を上げる。

「ホ、ホントか!?」

「…でも、今は俺、香織と付き合ってるから…」

「そっか、そうだよな、僕みたいなやつと付き合いたくなんてないよな…」

「そんな事ないってば!」

俺は綾に近づこうとした。

その時、イスに足を取られ、綾の上に倒れこんでしまった。

「痛たた…、綾、大丈夫か?」

綾が顔を赤くしている。

「ん?」

気付けば、俺は綾の胸を掴んでいた。

「あわわわわ!ごめんっ!これ事故!無し!」

「い、いいよ、修吾なら…」

いい?

いいって何だ?

すると綾が目をつぶった。

これは…。

していいって事か?

「あ、や…」

俺は理性を無くして、綾にキスをして抱きしめた。

それと同時にガラガラッと放送室のドアが開く音がした。

そこには、香織が立っていた。

理性を取り戻した俺は焦った。

「ぁ、か、香織…、これは…違うんだ」

「違うって…、何が違うのよ…?」

「これは事故っていうか…」

綾も気まずそうにしている。

「あんな放送があって、いつまでも戻ってこないから確かめにきたら…やっぱり…」

そう言うと、香織が放送室前から廊下を走って行った。

追いかけなきゃ!

でも、綾は…?

「行って…、いいよ?」

ごめん、綾。

俺は香織を追いかけた。

 

「香織!香織待ってくれ!」

「嫌!追って来ないで!」

気付けば学校の外まで来ていた。

「待ってくれよ!弁解させてくれ!」

それでも香織は走り続ける。

そして路地にさし当たったところで、車のクラクションが鳴った。

 

バァン!

 

集中治療室で治療を受けている香織。

そして治療が終わるのを待つ俺。

「俺が…、俺があんなことしなければ…」

悪いのは綾じゃない、俺だ。

俺は治療を終わるのを待ち続けた。

 

***

 

そして、治療室から医者が出てきた。

「香織は!?香織は無事なんですか!?」

すると医者は首を横に振った。

「そ…んな」

 

俺は、気付けば道を歩いていた。

そこに綾が立っていた。

「泣いてるのか…」

「だって…、僕のせいなんだろ?全部僕が悪いんだ…」

「違う…、悪いのは…、俺だ」

「ごめん、ごめん修吾…」

「違う…、俺だ…悪いのは…全部俺なんだ!」

俺は走り出した。

ちくちょう!ちくしょう!ちくしょう!

これは泣きゲーだったのか!

ちくしょ…ん?

泣き“ゲー”?

そして空を眺めると歌と文字が流れていた。

 

シナリオ:加藤修吾

プログラム:博士

音楽:博士

デバック:博士

ED:傷☆心

song by K○T○K○

 

………。

 

***

 

「よいしょっと」

俺は研究所らしきところに居た。

頭のヘルメットみたいな機械が装着されてたのを外された。

そこには、大きな機械がウィンウィンと音を立てていた。

「どうじゃ、ワシが開発した『人工彼女』売れると思わんか?」

…あぁ、そうだ、俺は変人発明家の家で新しいゲーム機を作ったからテストプレイして欲しいと頼まれたんだった。

だから断片的にしか記憶が無かったり、日常が変化してたんだ。

「ちなみにエンディングソングは某有名ギャルゲーソングライターにお願いしたぞ」

「うるせー!俺の涙を返せー!!」

「な、なんじゃぁ!?」

 

***

 

次の日、学校で俺は頬杖を付きながら伊崎さんを眺めていた。

すると、ゴリ男とデッパがチャカしてきた。

「何だ何だ?伊崎なんか眺めて、惚れたか?」

「無駄無駄、修吾がいくら頑張ったって彼女に釣り合わないよ」

わかっちゃいる。

だが、あの仮想世界では俺は伊崎さんと付き合ってた。

キスまでした。

そして、死なせてしまった。

教室に居るのが嫌になって、教室から出て行く。

そこに綾が偶然通りかかった。

…そういえばコイツともキスしたんだっけな。

それ以上の事もしようとした。

仮想世界での話し。

大きなお友達にしか見せれないシーンはカットされたから良かったようなものの…。

「なんだよ、修吾、僕に寄るなよ、キモいから」

「うるせーアニオタ!」

「なんだとー!」

ゴリ男とデッパは顔を見合わせて。

『あの二人が一番お似合いだよな』(ハモった)

 

『人工彼女』 

 

***

 

実は仮想世界の話でしたというオチ。

夢オチとそんなに大差ねぇな…。

こんなゲーム機あったら即買いですよ。

でも多分値段は激高だと思われる。

だって、ヘルメット式で研究所で使うようなゲーム機ですよ?

家庭用になるのは無理だと思う。

ギャルゲーとして面白いかどうかは分からないが、恋愛少年漫画につよきすをプラスした感じで。笑

それでは『人工彼女』終わり。

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『人工彼女』一人目。

俺はいつもの道をいつも通り歩いていた。

何も変わらない毎日、何も変わらない風景。

そんな事を感じながら学校へ向かっていた。

「ふぅ…だりぃ…」

クラスのイスに座ると同時にため息交じりにそんな言葉がもれる。

それもそのはず、学校へ来る楽しみの一つでもあればいいのだが、あいにく、俺にはそれが無い。

彼女の一人でもいれば、話は別なんだが…。

あいにく、俺は、別にイケメンではない。

だが、ブサイクという訳でもない、と自分では思ってる。

「おはよっ!」

「あぁ、おはよ…ってええ!」

クラスのアイドル的存在の、伊崎香織(いさきかおり)が話しかけてきた。

「ん?何驚いてるの?」

「ぇ、いや、別に…」

伊崎さんは俺と一言も喋ったことなんてないのに、どうして今日は挨拶なんかしてきたんだろう?

俺はこの伊崎さんに密かにホレていた。

だが、それを口にする事は、一生無い、とこの時は思っていた。

「ね、今日、ドコで一緒にお昼食べよっか?」

は?

何を言ってるんだろうか?

俺は伊崎さんとお昼を一緒に食べた事など一度も無い。

クラスのゴリ男(あだ名)とデッパ(あだ名)が冷やかしてくる。

「ちぇっ、まーた、修吾と伊崎はベタベタかよ」

「ひひっ、相変わらず仲いいカップルだな」

「えへへ…」

伊崎さんが照れ笑いをする。

俺、加藤修吾(かとうしゅうご)は混乱していた。

俺と伊崎さんがベタベタ?

しかもまた?

どういう事だろう?

「ね、今日は屋上で食べよっか?」

「え、あ、あぁ…うん」

強引に決められてしまったが、頭はまだ混乱していた。

 

***

 

屋上は快晴で、ぽかぽか気持ちよかった。

「ひゃー、暖かいねぇ…」

「そ、そうだね…」

「それじゃ、お昼にしよっか?」

「う、うん…」

あれ?授業中の記憶が無いけど…?

「その前に…」

伊崎さんは目をつぶってあごをちょこっと上げた。

「え?何…?」

「もう!早くしてよ!」

「す、するって何を!?」

「いっつもしてくれてるじゃない、キス!」

ガーン!

俺は無意識のうちにいつも伊崎さんとキキキ、キスをしてたのか…。

しかし、どうやってキスをすればいいのだろうか?

俺は記憶喪失にでもなっているのか?

キスの仕方も忘れていた。

「え~っと、こうかな?」

「いつっ…」

歯が当たってしまった。

「あ、ご、ごめん」

「もう、いっつもちゃんとしてくれるのに…、今日の修吾変だよ?」

今日の俺?

昨日の俺は一体何をしたっけ?

普通に学校へ行って、授業を受けて、帰宅したような気がするが…。

「さ、お昼ご飯食べよ食べよ?」

「う、うん…」

その時、屋上の扉がバンッと開いた。

「あー!修吾居た!デッパの言った通りだ!しかもまた香織と一緒だよ!」

「あ、綾…!」

「綾ちゃん、こんにちは」

こいつは日野崎綾(ひのさきあや)

俺の幼馴染。

顔は可愛い部類に入るし、現にモテてる。

だが、本人は何人もの相手をフッてきた。

曰く「僕、キミの事タイプじゃないから」

と、いくつもの男子を奈落に落としてきた人物だ。

イケメンで有名な隣のクラスのイケメン須藤ですらフラれていた。

しかも、男言葉は使うわ、雑な性格だし、俺から見たらただの男友達だ。

子供の時から相手にしてるから、女として見てない。

多分綾もそうだろう。

「こんにちはじゃないよ!今日の放送委員の担当僕と修吾だぜ?早く来いよ!」

「お、俺放送委員だっけ?」

「何、すっとぼけた事言ってるんだよ、早く来いよ!」

「ご、ごめん、伊崎さん、俺行かなきゃなんないみたい」

「それじゃ、お弁当持って行って?」

「分かった、ありがとう」

「どういたしまして」

そう言うと、伊崎さんは寂しげにニコっと笑った。

「おらー!修吾早くしろー!」

「わ、分かったってば!」

そして、俺は、放送室へ向かった。

大音量で、綾の趣味のアニソンをかけている放送室で伊崎さんが作ってくれた弁当を食べてる俺。

「随分、幸せそうな顔してんな、コラ、オイ修吾」

「だって、伊崎さんが俺のため“だけ”に弁当作ってくれてるんだぜ?こんな嬉しい事無ぇぜ」

「ふ~ん、そんなに香織の事好きなんだ…?」

「な、なんだよ?」

すると、綾がニカッと笑いながらこんな事を言ってきた。

「じゃあさ、僕と香織どっちが可愛いと思う?」

「伊崎さん」

「…そっか」

綾が残念そうに肩を落とした。

お?何か女の子らしい反応したぞ?

面白そうだからもう少し遊んでみよう。

「あー、でも綾のサバサバしてる所とか俺、好きだな」

「ホ、ホントか!?」

なんだ?こいつは…?

コロコロ顔色変えやがって。

「でも、やっぱり、弁当作ってくれる伊崎さんの方がいいなぁ~」

「べ、弁当作れたらいいのかよ!」

「そういう訳じゃないけど…」

「な、なら僕が修吾に弁当作ってきてやる!」

顔を真っ赤にしながらこんな事言ってるし。

「いや、俺、伊崎さんの弁当あるし…」

「男なら弁当の一つや二つ豪快に食えぇ!」

「えぇぇぇぇーーー!!!」

その後も、放送が終わるまで綾とじゃれあっていた。

こんな時間も楽しいな。

俺はそう思った。

 

***

 

「…それじゃ、弁当は放送委員の仕事があるときだけだぞ!伊崎さんにそう頼んどくから!」

「わ、わかったよ…」

綾が口を尖らせて納得したようだ。

「ちなみに明日も僕たちの当番だからな」

「アッー!」

そして、教室に戻る。

伊崎さんが駆け寄ってくる。

「お疲れ様、今日の歌なんて歌だったのかな?」

「はは、ちょっと昔のアニソン…」

「あはは、綾ちゃんアニメ大好きっ子だもんね」

「ガキっぽいんだよ、アイツは」

「あ、それと、放送委員があるときは俺の分の弁当作らなくてもいいよ?」

「え…?どうして?」

「なんか、綾が『僕が修吾の弁当作る!』なんて言って聞かないんだよ」

「そうなんだ…、綾ちゃんも…」

聞こえるか聞こえないかくらいの声で、伊崎さんが呟いた。

「え?何?」

「う、うぅん!何でもないよ?それじゃ、授業始まっちゃうね、席に戻らないと!」

何か様子が変だったな、まぁいいや、何か知らんが、伊崎さんは俺の彼女らしい。

人生難しく考えると壁にぶつかるっていうからな。

能天気くらいが丁度いいんだよな、きっと。

そんなアホみたいな理屈で片付けていた。

そして、授業も終わり、俺は帰った。

帰った後に気が付いた。

恋人同士って普通一緒に帰るよな…。

まぁ、いいか、明日謝っとこう。

そうして夜が更けていった。

 

***

 

ギャルゲー風味のラブコメを俺が書くとこうなる!

人工彼女Q&Aのコーナー!

Qタイトルが「アレ」と酷似してる。

A:気のせいだ!

Q:美少女キャラはこれ以上増えますか?

A:この二人だけでも十分なんで、これ以上美少女キャラは出ません。

まぁ、これもプロトタイプってことで。

Q:また行きあたりばったり?

A:ラストはもう考えてあるので、行き当たりばったりということにはならないはず…。

Q:展開が早すぎじゃね?

A:仕様です。

Q:エロはありますか?

A:少年漫画程度のエロならあります。

Q:ケータイに乗せるんですか?

A:乗せちゃ何か問題でも?

Q:キモい。

A:それも仕様です。

それでは、どんどん質問受け付けます。

気軽にコメントしてね☆

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『オタクなんて大っ嫌い!』第四ボトル目。

-一ヵ月後-

俺は香苗が来る事を願いながら、今日も雅さんのヘルプをこなしていた。

「やだ~、雅おっかし~!」

そして、お客さんがタバコを指に挟むのは見逃さず手で火を覆い隠しタバコに火をつける。

そして、お酒の霜をふき取り、お酒を作る!

と、やり手ヘルプっぷりをアピールしていた。

一ヶ月もヘルプを勤めてると無意識に出来るようになった。

すると、オーナーが近づいてきてまた雅さんに囁く。

「雅…、また香苗だ…。今日こそはツケを払ってもらえ、じゃないとお前、ナンバーワンから落ちるぞ…」

「…わかりました」

俺はようやくチャンスが来たと思った。

そして、雅さんは香苗の席へ移動する。

「お待たせ、香苗…」

「待った。もうちょっと早く歩けないのかしら?その足は飾り?」

「ごめんね、お客さんが中々離してくれなくて…」

俺はヘルプ席へ付いていた。

「ところで、香苗…、ツケなんだけど…」

雅さんがツケの話をすると雅さんが喋り終わる前に香苗が喋りだした。

「ドンペリ。プラチナで」

雅さんは複雑な顔をしていた。

「楓君、プラチナお願い…」

「わっかりましたァ!」

俺はそう言うとヘルプ席を立って、ドンペリを取りに行った。

「あれ…?楓君?」

「何?あのヘルプ自分で持ってくるんだ?」

しばらくして、俺はドンペリプラチナの瓶を持って席に戻ってきた。

「おまったせいたしました~!」

すると香苗が嫌味を言う。

「この店のホストって歩くのに随分時間かかるのね」

俺は無視してグラスを取った。

「それでは、プラチナお注ぎいたしま~す!失礼します!」

と、言った俺は何をしたかというと…。

 

どぼどぼどぼどぼ…。

 

香苗の頭にボトルごとドンペリを注いだ。

もちろん中身は水とすり変えてある。

 

ぼとぼとぼと…。

 

瓶の中身が最後の一滴まで全て香苗の頭に注がれた。

雅さんは驚いて、口が開きっぱなしだった。

香苗はしばらくしてからようやく口を開いた。

「…ちょっと。…これ、どういう事?」

「師匠が受けた屈辱はこんなもんじゃないっすよ?」

店中事の経緯を見ていた。

「もう一本ドンペリこちらはサービスとなりまーす!」

 

どぼどぼどぼ…。

 

「ちょっと!いい加減にしなさいよ!」

テーブルをバン!と叩く。

「いい加減にするのはアンタだろ!!これ以上師匠を苦しめるな!」

俺も負けじとテーブルをバン!と叩いた。

キッ!っと香苗が俺を睨む。

「なんすか?文句でもあるんすか?」

すると、香苗がカバンから札束をばさばさっと出した。

「………げ」

俺は焦った。

またツケにして雅さんを苦しめるだろうと思ってたが、これは計算外だった。

「どうせ…」

香苗はうつむきながら喋り始めた。

「どうせこんな事されるなら…、勝、アンタにやってもらいたかった…」

「か、香苗…?」

「なんで…、なんでアンタはこんなアタシにまでやさしくするのよっ!」

そういや、師匠の本名「田中勝」だったな…。

俺はそんなどうでもいいことを考えていた。

「散々アンタを苦しめたこんなアタシになんでやさしくするのよっ!」

香苗は怒鳴り散らした。

「香苗…」

「一週間前…、アタシは今までのツケを返そうと思ってた…」

「でも勝はナンバーワンになってた」

「アタシはもう必要ない…。そう思った」

「風俗で必死に稼いだこのお金使うの馬鹿らしくなっちゃって…、つい意地悪しちゃったのよ…」

「だって、アタシが居なくても勝は勝手にナンバーワンにのし上がったんだから…」

「アタシなんて…、もう勝には必要無いのよ!」

そう言うと、香苗の濡れた頭から一粒水が頬に滴り落ちた。

いや、それは涙だったのかもしれない。

「そんな事ないよ、香苗…」

雅さんは香苗をギュっと抱きしめた。

「僕は香苗が帰ってくるのをずっと待ってた。今でもそれは変わりないさ…」

「ごめんね、勝…、ごめんね…」

香苗は雅さんの腕の中で泣きじゃくった。

えっと…、俺は…。

逃げるか…。

何か、上手く話がまとまったみたいだし、店の皆が唖然としてる今がチャンスだ。

俺はそぉっと店を後にした。

 

「あー、俺のホスト生活もこれでお仕舞いかぁ~…」

そんな事を考えながら、道を歩いてた。

ふと、あの書店の前を通りかかった。

「そういや、アニメージョの今月号買わなきゃな、俺はもうホストじゃなくて単なるオタク…っと」

そして、ふと従業員出入り口を見ると、リリコたんが出てきた。

「あ…」

俺は肝心な事を忘れていた。

俺はリリコたんにフラれてカッコ良くなる為にホストになったんだった。

今の俺なら…、不可能じゃない!

俺はそう思ったと同時にリリコたんに駆け寄った。

「リリコた…、じゃなくて!斉藤さん!」

「はい?」

リリコたんは初対面の人(実際は二度目)に声をかけられて驚いた様子だった。

この間はいきなり付き合ってくださいなんて言うから断られたんだ。

そうに違いない。

自分に言い聞かせていた。

今度は、とりあえず、ホストで学んだ話術で食事にでも誘ってからじわじわ攻めて行けば今の俺なら大丈夫だ!

「あの、俺、キミに一目惚れしちゃったんだ…、良かったら一緒に食事にでも行かない?」

俺は精一杯カッコつけて言った。

するとリリコたんはにっこりと微笑んでこう言った。

「私、チャラチャラした人って大っ嫌いなんです。ごめんなさい」

 

んがーーー!!!

 

***

 

-一週間後-

「えー、第四十四回げんしかいをファミレスにて始める!」

「お前一ヶ月も学校休んで何してたんだよ?」

渡辺には俺がホストをやっていたことを告げていない。

「それと、そのイメチェン?オタクっぽくない!」

「これからのオタクはマルチだ!マルチに活動せねばならん!取り合えずコミケで同人エロゲー作るぞ、渡辺!恋なんてしてる場合じゃない!」

「お、おう。まぁ、こんなちまちました活動しててもしょうがないしな…、それより…」

「プログラムは出来るよな?俺は企画、シナリオを担当する!あとはグラフィックを調達しよう!」

「僕、グラフィック出来るよ?」

横から聞きなれた声が聞こえた。

ゆっくりと、横を振り返ると、雅さんが俺の隣に座ってた。

「し、師匠ーーー!?」

バッ!っと外の駐車場を見た。

日本に三台しかないフェラーリが止まってた。

やたらと目立つ…。

すると、渡辺が聞いてきた。

「な、なぁ…、誰だ?この人?」

「ホ、ホストクラブアクアタイムのナンバーワンホスト…」

「な、なんでそんな人と知り合いなんだ?」

「そ、そんな事はどうでもいい!っていうか師匠!グラフィックできるってどういう事ですか!」

「ん?僕、ホストやる前エロゲー作ってる会社でグラフィックの仕事してたから」

「だって師匠言ってたじゃないですか!二次元は人を裏切らないからオタクになったって!それって香苗さんが原因なんじゃ…!」

「何もホストになってからオタクになったわけじゃないよー」

ガーンっ!!

完全なる俺の早とちり…。

「と、ところで師匠は何故、こんな所へ?」

「楓君を探しに来たに決まってるじゃないか、ちょうど窓から楓君が見えたからね」

「だ、だって俺はあんな事したんですよ!?もうクビでしょ!?もしかしてオーナーがカンカンとか…?」

「それがね…、あの日以来、楓君を出せってお客さんが殺到しちゃってねぇ…」

「ぇ…」

「もぅー、楓君探すの大変だったよー、さ、今日からまたよろしくね」

「い、いや、でもほら、同人エロゲーとか作らないといけないし…」

「それなら僕も手伝うよ、グラフィックなら元プロだしね」

「ちょ、ちょっと待って下さいよ!」

「さ、行こうか。あ、アフターある日は手伝えないけどいいよね?」

そして俺はずるずると雅さんに引きずられていった。

 

「ホストはもうイヤーーー!!!」

 

『オタクなんて大っ嫌い!』 

 

***

 

今日の@がきのコーナー!

どうでしたか?『オタクなんて大っ嫌い!』

リリコたんとは結局結ばれず、オタクに逆戻りしてからのホストに逆戻り。

よく分からないホストの世界を書くのは大変な作業でした。

間違えまくりなのは勘弁して下さい。

実は二日で書き上げたのは内緒。

自分的には面白いと思ったんですが、どうでしょう?

やっぱ微妙でしたかね?

実は続きももう考えてたり…。

リリコたんが友達に誘われてアクアタイムにやってくるっていう内容なんだけど。

そっからの展開は凄いですよ。

何がどう凄いかは人気次第で明らかに。

次回作は『ホストなんて大っ嫌い!』ですかね。

あればの話。

現段階では『アスラの花』みたいな童話チックホラーシリーズを書く予定。

完全短編読みきりで。

だってケータイの方で2000Hitしちゃってるんだもん。

注目作品にノミネートされてるんだもん。

これ書かなきゃでしょ?

あと、『わらべ唄の響く夜』も注目作品に入ってました。

じわじわと『少年ジャックナイフ』も上がってきてるんですけどね。

下ネタがキツすぎたのか注目作品にはノミネートされず…。

『少年ジャック・ザ・リッパー』に勝ててないからやっぱホラーっぽいのがいいのかなと。

こっちも下ネタのサイドストーリーって事で注目作品から外されてますね。

まぁ、確かにあんまりホラーじゃないしね。

ホラーっぽいってだけで…。

『始まりと終わりの物語』は一般ウケしないパロディを使った為か、これも注目されず。

『ドラゴンオーバードライブ』なんて論外。

うそやーん!つД`)・゚・。・゚゚・*:.。

おそらく、これも注目はされないかと…。

ジャンル的にはラブコメだよね?

あんまりマニアックな事書くと注目されない罠。

他にどんなジャンル読みたいとかそういう意見募集。

って募集かけたところでコメント来た事無いんだけどね。

と、言う訳で『オタクなんて大っ嫌い!』終わり。

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『オタクなんて大っ嫌い!』第三ボトル目。

「さて、今日もビシッと行くよ~」

雅さんは白スーツに着替えた。

俺も慌ててスーツに着替えた。

「そういえば楓君仕事は?」

「あ、俺大学生っす!」

「そ、なら安心だね」

何故か昨日から体育会系のノリになってるが、普段はボソボソとしか喋らないから喉が痛い。

雅さんがウコンのパワーというドリンクを飲んでいた。

「楓君も飲んでった方がいいよ」

ひょいっとウコンのパワーを投げ渡された。

「あ、ありがとうございます。でもこういうのって普通飲んだ後に飲むんじゃないんですか?」

「あはは~、僕帰ってきたらすぐ寝ちゃうからね~」

それもそうか、と思った。

「それじゃ、出勤するよ~」

「うっす!」

 

-ホストクラブアクアタイム-

 

今日も雅さんのヘルプに付いてる俺。

今日は失敗もなく、順調に仕事をこなしている。

すると、店内がざわつき始めた。

「なんジャロ?」

すると、オーナーが近づいてきて雅さんに囁いた。

「香苗が来た…。雅、お前の客だ…」

すると雅さんの顔つきが変わった。

「そうですか…、わかりました」

すると、雅さんが、今付いてるお客さんに謝って、席を移動し始めた。

ぉ、お?何だ何だ?

俺も訳も分からず移動する。

「久しぶりだね、香苗…」

「ふ~ん、流石ね。白スーツ似合ってるじゃない」

「褒めてくれてありがとう」

「別に褒めてないわよ」

???

この人は雅さん指名のはずなのになんでこんなツンツンしてるんだ?

っは!

まさかツンデレキャラとか!?

ホストになってもオタクは抜けてなかった。

「でも、アタシがツケにツケて逃げてアンタを借金地獄にしたのによくのし上がれたわね」

「やさしい先輩がお金を貸してくれたんだよ」

「ふ~ん、ま、いいけど」

っは!

まさか雅さんが人間不信になったのはこの人のせいでは!?

「…ところで、そこのヘルプ新人?」

「あ、はっ、はい!新人の楓です!よろしくお願いします!」

「ふ~ん…」

と言うと、香苗はにやりと笑った。

すると、すかさず雅さんが口を挟んだ。

「ダメだよ?香苗。この子は僕の大切な弟子だからね」

「はぁ?弟子?何言ってんの?アンタ。ところでさっきからタバコ持ってるんだけど火は一体誰が付けてくれるのかしら?」

俺は慌ててポケットをまさぐり昨日の100円ライターで火を付けた。

「要領悪いわね。ちゃんと教育してるの?」

「昨日入ったばかりなんだ、ちょっとのミスは許してやってくれ」

「ナンバーワンならもうちょっと後輩に厳しくしてもいいんじゃない?ちょっと甘すぎね…。昔と全然変わらない」

「香苗こそ…、全然変わってないね。相変わらずキレイだ」

「プッ、なにそれ。ナンバーワンが使う言葉じゃないんじゃない?」

「本心を言ったまでさ」

「ふ~ん、ま、いいわ。それじゃ、何か頼もうかしら。そうね、ドンペリのプラチナでも貰おうかな…」

「………」

ン?何で雅さん黙ってるんだろう?

「何黙ってるの?ドンペリのプラチナをお願いしてるんだけど?それともペルフェクションでも頼もうか?」

「楓君、ドンペリプラチナお願い…」

「わ、分かりました!ドンペリプラチナ入りましたー!」

店内がざわつく。

ドンペリって高い酒だよな…?しかもプラチナ?何だそれ?

それより、そんなにお金持ってるのかな?ツケ逃げするような人なのに…。

雅さん大丈夫なんだろうか?

それに“ぺるふぇくしょん”ってなんだろう、と思いつつ、取り合えずプラチナが来た。

「ひゃ~、来た来た」

オーナーが雅さんに“大丈夫か?”と目配せをしていた。

雅さんはにこっと笑って、香苗さんにプラチナを注いでいた。

 

***

 

「お会計75万円になります」

「雅ぃ、アタシ今日お金無いの、ある分だけで、後はツケといて」

すると、香苗さんは75円を雅さんに渡した。

おい!桁が五つも違うぞ!何だこの女!

「わかったよ、香苗、それじゃ、また来てね…」

そして香苗は帰っていった。

「いいんすか!師匠!あそこでビシッと一言何か言わなくて!」

「いいんだよ…、それより僕を待ってるお客さんがいるから早く戻ろう」

俺は納得いかなかった。

 

***

 

雅さんの自宅に帰ってきた俺。

「師匠!何ですか!あの香苗って人は!絶対またツケ逃げしますよ!」

「いいんだよ…」

「何でですか!罰金払わされるの師匠じゃないっすか!」

「それでもいいんだ…」

「わかんないっすよ!何でですか!」

俺があまりにもしつこく聞くもんだから雅さんは諦めたかのように喋り始めた。

「香苗とは…、昔僕がホストになる前に付き合ってたんだ」

衝撃的告白!

俺が唖然としていると雅さんが続けた。

「ある日、香苗は僕にお金を借りるようになったんだ」

「それで…?」

「後から香苗の友達に聞いたら、何でもホストに貢いでたんだって」

「しばらくすると僕はお金が無くなってね、香苗が別れようって言ってきたんだ」

「あの女ぁー!師匠になんてことを!」

「そして、僕は香苗にまた好きになってもらおうとホストになった」

「ある程度稼いでナンバー入りしてきた頃、香苗が店にやってきてね。僕を指名にしてくれたんだよ」

「そ、それで…?」

「その続きは香苗がお店で言った通りだよ、ツケにツケられてあげくに逃げられた」

「………」

「僕は、先輩に土下座してお金を借りた。そしてその時誓ったんだ。必ずナンバーワンになるってね」

「それは…、香苗さんを見返す為ですか…?」

「さぁ?どうなんだろうね?僕にも分からないよ」

そっか…。

昨日の話…。

『二次元は人を裏切らないから…かな』

『好きだった人がホストにハマってたからさ…』

これが、今の雅さんを形成させたんだ。

雅さんがどんなに屈辱的だったか…。

あの香苗って人は…。

俺は香苗に対して怒りを感じていた。

全てあの香苗って人のせいで…。

「さ、疲れたろ?もう寝よう」

「…はい」

俺はある決意をして今日は寝ることにした。

 

***

 

今日のあとがきーのコーナー。

雅の過去話書いときました。

それにしてもムカつく女っすね!あの香苗って女は!

無意識に楓君が出てきた。

楓君の今日の出番は終わったからもう寝ててください。

さて、楓くんは一体何を決意したのか?

香苗はまた店にくるのか?

次回をお楽しみに! 

それでは『オタクなんて大っ嫌い!』第三ボトル目終わり。

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『オタクなんて大っ嫌い!』第二ボトル目。

「う~ん…」

オーナーが唸っていた。

「今日から彼を体験入店させてもいいですよね?」

雅さんは自らオーナーを説得していた。

「しかし、そのオタクくさい服に髪型、それにメガネねぇ…」

「服は店のレンタルのを貸してください。あと、髪型は専属のコーディネーターにお願いしましょう。メガネは…、今からコンタクト買いに行ってきてくれないか?」

雅さんはてきぱきと指示をしていた。

「師匠!じゃ、じゃあ、俺、コンタクト買ってきます!」

「うん、なるべく早く帰ってきてね、もう店開いちゃうから」

「はいっ!」

 

「コンタクトにしてきましたァ!」

「それじゃ、次はヘアーコーディネーター呼んであるから彼に頼んでね」

「うっす!」

 

「髪の毛バッチリです!」

「それじゃ、このスーツとブーツに着替えて」

「うっす!」

 

そして迅速な行動で、何とか開店前に準備が整った。

 

鏡の前で、変身した自分の姿を見て驚いた。

俺ってこんなにカッコ良かったっけ?

「こ、これが俺…」

まさにホストですと言わんばかりの格好。

「はは、もう格好は完全にホストだね」

「し、師匠!整形はプランに入ってましたっけ?」

「そんな短時間で整形なんてできないよ~、もともと楓君は顔は良かったんだけど髪形で台無しにしちゃってたんだよ」

そ、そうだったのかァ!!

いっつもお金がもったいないからって1000円カットで伸ばしっぱなしだったからかァ!

ちいっ!もっとファッションに金をかければ良かったのかァ!!

「さぁ、そろそろ開店するから、楓君は今日は見学だけでいいよ」

「は、はいっ!分かりました!」

 

そしてホストクラブアクアタイムは開店した。

「ドンペリピンク入りましたぁ!」

ドンペリコールが響く。

雅さんの席だ。

「うわぁ…、ドンペリって安くても10万くらいするんじゃないの?」

そして、次々とお客さんが入ってくる。

すると、雅さんが近づいてきた。

「ごめん、楓君、今ヘルプ足りないんだ、手伝ってくれるかな?」

「へ、ヘルプっすね、わ、わかりました…」

「はい、ライター」

100円ライターを渡される。

「100円ライターでいいんですか?」

「ジッポやマッチだと嫌がる人もいるからね、それじゃ付いてきて」

っていうか俺の源氏名は?

そして雅さんの席に着く。

「この子は新人の楓っていうんだ」

「は、始めまして、楓です、よろしくお願いします」

「よろしくー、新人君!」

お客さんがタバコを出そうとしている。

すると、雅さんがそっと耳打ちしてくれた。

「(火、付けるんだよ?)」

お客さんがタバコを指に挟んだ。

「ど、どうぞ…」

ボッっとライターを付けると火力が最大になっていた。

「キャァ!」

「あぁ!すいませんすいません!」

「大丈夫かい?火傷してない?ごめんね、新人だから許してあげて…?」

「もー、雅君がそういうなら許すけど…、今度やったら許さないからね!」

「す、すいません…」

その後も雅さんは色々と耳打ちしてくれた。

「(グラスに霜が付いたら拭くんだよ、グラスを持つときはグラスの下を持ってね)」

「(お酒を作るときはマドラーがグラスにあたらないように下から上に混ぜるんだよ)」

しばらくすると、お客さんが俺に話しかけてきた。

「新人君も何か話してよー」

そして、俺は最大の過ちを犯してしまった。

「あの、それじゃ、お年は…?」

カッキーンとその場が凍りついた。

「ちょっと…、こいついくら新人でも超失礼なんじゃないの!?ちゃんと教育してるの!?」

すると、雅さんが近づいてきた。

 

「バキッ!」

 

思いっきり頭を殴られた。

「い、いでぇ!!」

「お前、お客様に対して何失礼な事言ってんだコラァ!」

「すすす、すいません!」

その後も雅さんは怒っていた。

雅さんは指名されて、他の席へ移動する事になった。

ヘルプの俺も一緒に連れていってもらった。

席へ移動する途中で、雅さんが囁いてきた。

「ごめんね、さっきはああするしかなかったんだ。お客様の怒りを収める為には誠意を見せなきゃいけないから…」

「いえ、あれで事が収まるならいくらでも殴ってください」

そして、違う席に着いた。

そこでも俺は失敗しまくりだった。

「タバコ切れちゃったぁ~、ヘルプ君買ってきて、ハイライトね」

「うすっ!」

 

「え~っと、ハイライトだったよな」

 

「買ってきました!」

「ちょっと、何よコレ!メンソールじゃない!アタシが頼んだのはメンソールじゃないわよ!」

そしてまた雅さんに殴られる。

お客さんに酒をかけられる。

それの繰り返しだった。

 

-閉店後-

 

「今日は急にヘルプ頼んじゃって、その上ボカボカ殴ってごめんね~」

いつもの雅さんに戻ってた。

「い、いや…、いいんす。カッコ良くなるためにならいくら殴られようと酒をかけられようと…」

すると、オーナーが近寄ってきた。

「雅、いくらナンバーワンだからって勝手にヘルプ決めるのは良くないな」

「すみません、以後気をつけます」

「へ?なんばーわん?ナンバーワン!?師匠ナンバーワンなんすか!?」

「白いスーツはナンバーワンしか着れないんだよ。他の皆は黒だったろ?」

ナンバーワンホストがアニメージョを買っていた。

「っていうか…、あれ?急に視界がぼやけて…」

すると、俺はその場に倒れてしまった。

 

***

 

翌日俺は目を覚ました。

翌日といっても朝まで働いてたから実質翌日ではないが。

「あれ…?ここ何処だ?」

「あ、目覚めた?体大丈夫?」

「し、師匠!あれ?俺昨日どうしたんすか?」

「あの後ばったり倒れちゃったんだよ、多分お酒と寝不足のせいじゃないかな?」

「ここって、師匠のウチっすか?」

「そ、まぁ、今日の出勤までゆっくり休んで。はい飯」

白いご飯と味噌汁と他におかずがいくつかあった。

丁度腹が減っていたので、がっついた。

「これ、師匠が作ったんすか?」

「うん、そうだよ?」

「美味いっすね」

「毎日作ってるからねぇ」

もぐもぐと口を動かしながら部屋の中を見渡してみた。

広い部屋には…。

パソコン。

エロゲー。

漫画。

同人誌。

アニメDVDBOX。

フィギュア。

アニメ雑誌。

がきっちり整頓されていた。

 

…とてもナンバーワンホストの家とは思えない。

もちろん高級腕時計や、アクセサリーの類もあったが、そっちは雑然としていた。

俺の部屋と大差ねぇな、と思った。

「ところで何で師匠はオタクになったんですか?」

「さぁねぇ…、二次元は人を裏切らないから…かな」

雅さんは少し寂しげに言った。

過去に何かあったのだろうか?

「じゃあ、師匠は何でホストになったんですか?」

「キミと似たような理由だよ。好きだった人がホストにハマってたからさ…」

それ以上雅さんは口を開かなかった。

そして録画してあったと思われるアニメを見始めた。

 

***

 

今日のあとがき。

雅の過去が気になりますね。

次回、雅の過去が明らかに!?

ってか?

どうなんジャロ?

雅の過去話書いたほうがええのかな?

それよかさっさと楓君が変身しちゃった方がいいのかな?

ま、その時の気分次第です。

どうせ、コメントとかこないから自由にやるさ。

それでは『オタクなんて大っ嫌い!』第二ボトル目終わり。

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『オタクなんて大っ嫌い!』第一ボトル目。

俺、黒崎楓(くろさきかえで)は重度のオタク。

オタクファッションに身を包み、メガネっ漢。

髪の毛はボサボサ。

エロゲー所有数数十本、同人誌数百冊、フィギュアなんて自作すらする。

当然彼女居ない歴=年の数。

童貞。

完全に名前負けしている。

こんな二次元コンプレックスの俺は悩んでいた。

僕はファミレスの窓の外に映るカップルを眺めていた。

「ハルピ見てるだけでオタク面するやつってムカつくよなぁ!」

俺は上の空で答えた

「う~ん…、そうだな…」

「同人誌を集め、フィギュアをコンプし、そして全てのキャラの声優を当ててこそ本当のハルピオタだ!」

同じく重度のオタク疾患を患っている渡辺が俺が話を聞いていると思って話し続ける。

「…やっぱりウォーターボンバーのアルバムで一番いい曲ってセカンドのダイナマイトコーリングじゃね?あ、ちょっとマニアックか。はっはっは」

「ベストだけ買って満足してるやつは死んで来いっての」

「そうだな…」

俺は恋をしていた。

先月、本屋に毎月出版されるちょっとマニアックなアニメ雑誌を買いに行ったとき、一目惚れをしてしまった。

あの店に新しく入ったバイトの女の子に恋をしてしまったのだ。

俺は告白しようかどうか迷っていた。

なんせ、見ず知らずの男から告白されたって絶対断られることは分かっていたからだ。

しかも超が付くほどの重度のオタクだ。

100パー断られる。

「どした?」

渡辺が俺が上の空な事に気付き、聞いてくる。

「いや、彼女っていいよな~…って思ってさ」

すると渡辺はこう言う。

「彼女ならいるじゃねーか」

「は?」

「彼女ならいつでもパソコンの中に待機していてくれるじゃないか!しかも股おっぴろげて!いつでも準備オッケー!みたいな!?」

ちょっとでも渡辺に聞いたのがバカみたいだ。

今の俺には渡辺の思考は理解できなかった。

そりゃ、ちょっと前までは「俺の嫁はリリコたん!」

とかそんなオタク丸出しの発言をしていたかもしれない。

だが、今は違う。

現実の女性に恋をしているのだ。

「はぁ~…っ」

俺はため息を付いて、ドリンクを取りに行こうとした。

「ドリンクバー行くならメロンソーダもってきて」

「自分で持って来い!」

「ちぇっ、ついでだから持ってきてくれてもいいじゃねーかよ、ケチだな」

 

***

 

外はもう真っ暗だった。

「そんじゃな、渡辺、第四十三回げんしかい(現代視覚文化研究会)はお開きだ」

「今回の会議は内容がぺっらぺらだったぜ…」

「うっせー!お前のトークが他のお客さんから軽蔑の眼差しで見られてるんだよ!もうちょっと声のトーンを落とせ!」

「へーいへい」

「そんじゃ、俺は本屋寄って帰るからここでな」

「おーう、そんじゃなー」

そして渡辺と別れた。

 

今日はアニメージョの発売日だから、いつもの書店に行くと決めていた。

それと、あの子にも会いたいと思ったからだ。

そして、書店に到着。

速攻でアニメ雑誌コーナーに直進する。

「ぉ、今月の表紙はリリコたんですか…」

そして、アニメージョを手に取ろうとして手を伸ばした。

すると反対側からも手が伸びてきて手と手が触れ合った。

ドッキーン!こ、これはもしやフラグが立ったのでは…。

ふっ、と二人は顔を合わせた。

そりゃ、男だよなぁ!分かってたさ!あぁ!そんな上手い話なんかねぇよなぁ!

そんな事を思ってたら、その男が「お先にどうぞ」

と、言ってきた。

よくよく顔を見ると、超カッコイイ…。

服とかもスゲーオシャレだし、こんな人がこんな雑誌買うのか!?

と、俺は思った。

「ん?買わないの?」

「あ、いえ…、その買います」

そして、さっとアニメージョを取り、レジに向かった。

「いらっしゃいませー」

うわ、あの子だ。

そういえば名前知らないんだよなぁ…。

と、思い、胸のネームプレートを見た。

"斉藤理利子”

リ、リリコたーん!

リリコたんがリリコたんの表紙のアニメージョを手に取りバーコードでピッとやってあぁもうなんだか訳が分からない。

そして、俺は、カッコ良く、メンズファッション雑誌を立ち読みしながらリリコたんの動向をチラ見していた。

すると、ガラガラの店内に店員の声が聞こえてくる。

「ねぇねぇ、あそこで立ち読みしてる人超かっこ良くない?」

「ホントだぁ、きゃぁ」

俺の事か!

と、一瞬思ったが、店員達が見てるのはあのアニメージョを取り合った男だった。

男は恥ずかしげもなくマジマジとアニメージョを読んでいた。

「あ、斉藤さん、今日はもうあがっていいわよ」

「はい!おつかれさまです!」

はっ!リリコたんが今日はもう帰るみたいだ!

どうする!?

帰り際を狙って、思いを打ち明けるか!!

 

「…俺、何やってんだろう」

従業員出入り口付近でリリコたんが出てくるのを張ってる俺。

あ!リリコたんが出てきた!

やばい!自転車で帰ろうとしている!

帰られる前にこの熱い思いを打ち明けなければ!

そして、俺は従業員出入り口に走って向かう俺。

「あ、あの!すいません!」

するとリリコたんがこっちに振り返って返事をした。

「はい?何でしょう?」

「あー…あの…」

しまった、こういうとき何て言えばいいのか分からない。

ギャルゲーだと、選択肢が出るが現実(リアル)では出ない!

理利子さん、僕と付き合ってください!

って言うのか?俺?

もし彼氏とかいたらどうすんの!?

とか考えてたら理利子から声をかけてきた。

「あ!さっき雑誌買っていただいた方ですよね?」

「は、はい!そうです!私が雑誌を買った人です!」

変なおじさんみたいなことを口走ってた。

「あ、あの!斉藤さん、ですよね?」

「えぇ、そうですけど…」

「あ、あの…、良かったら僕と付き合ってください!」

…言った。

遂に言ってしまった。

するとリリコたんがにっこりと微笑んだ。

こ、これは!もしかしてオッケーとか!?

「私、オタクとか大っ嫌いなんです」

んがーーー!!!

笑顔で断られた!しかも趣味まで否定された!!

「そ、そうですか…、それは失礼しました…」

「ごめんなさいねー」

彼女は笑顔を絶やさない。

それが逆に千のナイフが俺の胸に刺さった。

すごすごと帰り際、書店の前を通り過ぎると、あのイケメンがアニメージョを買っていた。

「そうだ…、かっこ良くて、オシャレなあの人なら…」

そう、思って、イケメン君が出てくるのを待った。

ウィン

「ありがとうございましたー」

イケメン君が本屋から出てきた。

そして、俺はすかさずイケメン君に走り寄った。

「ん?何?」

「あ、あの…。俺を弟子にしてください!」

イケメン君は驚いて目をぱちくりしていた。

「お、俺はあなたみたくカッコ良くなりたいんです!」

すると、イケメン君は笑顔でこう答えた。

「ごめんねー」

んがーーー!!!

また断られた!!

だが、今度こそは俺だって引き下がらねぇぞ!

「おねがいします!」

俺は土下座をして頼み込んだ。

「ちょ、ちょっとやめてよ…。大体弟子って何?」

「どうやったらカッコ良くなれるか教えて欲しいんです!」

「わかったよ、わかったから頭あげてよ」

「ほ、ホントですか!?」

「どうやったらカッコ良くなれるか…ねぇ…」

イケメン君はしばし考え込んでいた。

「それじゃ、ウチの店来る?」

「は?お店ですか?カッコ良くなれるならどこへでも!」

その時俺は、オシャレな服飾のお店を想像していた。

 

そして、歩く事数分、高級マンションに付いた。

「ちょっと待っててねー、今着替えてくるからー」

す、すげぇな…、高級ブティック店でも経営してるんだろうか?

 

「師匠まだかなぁ…」

しばらくすると、マンションのガレージから外車が出てきた。

プップー、とクラクションを鳴らされた。

「も、もしかしてあれが…?」

ウィーンと車の窓を開けてチョイチョイと手招きしている。

な、なんだこの人は…。

まさか恐ろしい関係の仕事をされてるのか?

「早く乗りなよ!」

「は、はい!」

そして、車の助手席に座らされる。

「なっ!なんすか師匠!そのカッコは!」

師匠は真っ白いスーツに真っ白の先のとんがったブーツにブランド物と思われる時計をしていた。

「ん?これ仕事着だけど?」

これが仕事着…、経営者ってこんな格好するんだろうか?

「あ、あの師匠?この車ってフェラーリですよね?」

「うん、そうだよ?日本には三台しか無いんだって」

ますます分からないぃ!!

 

そして車を走らせること十数分。

やたらときらびやかな場所に着いた。

「ここが師匠のお店ですか?」

「そうだよ?」

店の看板には「ホストクラブアクアタイム」

と書かれていた。

「ホ、ホストぉーーー!!!」

ガチャ、と車のドアを開けると、他のホストが、師匠に挨拶している。

俺もすかさず車から降りた。

「車の移動頼む」

「わかりました!」

新人のホストだろうか?

車の移動を命令されている。

「えっと、そういえばキミの名前、聞いてなかったね」

「あ、黒崎楓です!」

「はは、源氏名みたいだね」

「そういう師匠の名前も聞いてないですよ」

「僕?僕は雅(みやび)。まぁ源氏名だけどね」

「で、本名は?」

「田中勝」

普通だった。

「じゃあ、体験入店してみる?」

「ぇ?体験入店ってつまり…」

「ホスト…。やってごらんよ」

えぇえぇええぇえええぇえええぇっぇ!!

 

そうして、俺はホストクラブの体験入店をすることになった…。

 

***

 

今日のあとがき。

オタクからホストへ。

どうかな?

微妙かな?

で、恒例のタイトル付けがまた悩むなぁ…。

『オタクなんて大っ嫌い!』か『オタクなんてクソくらえ!』か『ホスト男』

う~ん…。

最後のはあきらかにあれだろ。

という事で、じゃぁ一番初めので行くか。

さてさて、ホストクラブへ体験入店をすることになったオタクの楓君。

これから先どうなることやら。

無事、ホストとしてやっていけるのか。

次回!壮大なるイメチェンによる楓君の変貌ぶりがあきらかにっ!

乞うご期待!

それでは今日の『オタクなんて大っ嫌い!』第一ボトル目終わり。

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『アスラの花』

昔、とある農村にアスラという女性がいました。

アスラはとても性格がよく、村の人にもとても親切で、素晴らしい女性でした。

しかし、アスラはとても醜い容姿で、村の子供達からいつもからかわれていました。

「おーい、ブスアスラ!こっち寄るなよ!」

「ブスラって名前に変えた方がいいんじゃねぇの!?」

「クククッ!ブスラって何か怪獣みたいだね」

アスラはこんな事は日常茶飯事でしたが、とても傷ついていました。

鏡を見るたびにアスラはため息を付いていました。

アスラは、村の地主の息子、ハンスに好意を抱いていましたが、自分の容姿が醜い事を知っているアスラは、思いを打ち明ける事は出来ませんでした。

ハンスもお坊ちゃん育ちでありながら、誰にでも親切でとても好青年でした。

ハンスは良くアスラが摘んできた花を買いに来てくれました。

「どうせ、私のような醜い顔をした女なんてハンスさんは好きにはなってくれないわ…」

アスラは自分に言い聞かせました。

それにハンスには許婚がいました。

ハンスの許婚の娘、パニーニャは商人の娘で容姿端麗でしたが、わがままで、自分勝手で傲慢な性格が悪い女でした。

それでもやさしいハンスと美人のパニーニャ二人はお似合いだと思い、アスラはもう諦めていました。

 

**************************************************

 

ある日、アスラは、森の中で花を摘んでいた。

アスラは花を売って生計を立てていた。

この辺りには珍しい花が咲くのだ。

そして、アスラが花を摘んでいると、ある一人の老婆と出会った。

「こんにちは、おばあさん。こんな所でどうなさいました?」

そう、アスラが話しかけると、その老婆は突然こんな事を言い出した。

「お嬢さん、”顔”は持ってるかい…?」

「顔?顔なら私の顔があるわ、とても醜い顔ですけど…」

すると老婆はこう続けた。

「お前さんは自分の顔が気に入らないのかい?」

アスラはこう答えた。

「気に入らない…、って訳じゃないけど、もう少し美人に生まれたかったわ…」

そうすればハンスもアスラに振り向いてくれると思った。

「ほっほっほ、それじゃあ、私の家にお前さんのなりたい”顔”を持ってくるといい。そうすればその”顔”そっくりにしてあげよう」

「か、顔を持ってくるって一体どうやって!?」

「何、言葉通りの意味さ。人の首を切断して”顔”を持って来ればいいんだよ」

「そんな恐ろしい事出来ないわ!」

アスラが叫んだ。

「ほっほっほ、まぁ、気が向いたら”顔”を持って私の家に来るといい…。ここから東の方角に家がある。待っているよ…」

そうして老婆は東の方角へ去っていった。

アスラは恐ろしい話を聞いてその場にへたり込んだ。

そしてアスラは一瞬ハンスの許婚パニーニャの顔を思い浮かべた。

「ダメダメ!人の首を切断なんてしたら死んじゃうじゃない!そんな事絶対ダメよ!」

アスラは恐ろしくなって、花摘みも早々に終わらせて岐路に着いた。

 

家に帰る途中、道端でパニーニャに会った。

「あら、ブスのアスラじゃない。ふーん。花摘みしてたんだぁ…」

そういうとパニーニャは、カゴから花を一つ、つまみ上げた。

「あ、あの…、お一つどうかしら?一つ5パルなんだけど…」

するとパニーニャはその花をぽいっと道端に捨てた。

「こんなものにお金なんて使わないわ。どうせ使うなら美しいドレスを買うもの」

「そ、そう…」

アスラは道端に捨てられた花を拾ってカゴに戻した。

「それより…、あんたハンスの事好きみたいね?」

「え…、そ、そんな事ないわ…」

「隠さなくたっていいじゃない、まぁ、アンタみたいなブスにハンスはとても釣り合わないけどね」

パニーニャはアスラの髪の毛を掴んでうつむいたアスラの顔をぐいっと上に上げた。

「や、やめて!」

アスラはパニーニャを突き飛ばした。

「ちょっ!何すんの…」

パニーニャはよたよたと後ずさった。

その時だった。

「危ない!!」

興奮した馬が引いている暴走した馬車がパニーニャに襲い掛かった。

「キャーーー!!」

パニーニャは馬車にはねられた。

「お、俺は知らねぇ!!」

馬車に乗っていた男が、そのまま馬車を走らせて逃げていった。

「ひ、ひき逃げ…!」

早く誰かに知らせないと!

「パニーニャ!大丈夫!?今人呼んで…!」

アスラはそう叫んだがパニーニャはぴくりとも動かない。

もしかして…、死んじゃった…の?

アスラは焦った。

こんな所を誰かに見られたら私が殺したみたいじゃない!

そして、アスラはふとあの老婆の言葉を思い出した。

『お前さんのなりたい”顔”を持ってくるといい…』

アスラが気付いたときにはパニーニャの死体を引きずって森の中まで来ていた。

「やだ…、私…何考えてるの?」

引き返そう。

そう思ったとき、後ろから声がした。

「おやおや、もう来たのかい?しかも体付きときたもんだ…」

さっきの老婆だ。

「ち、違うの!私そんなんじゃ…!」

「ほっほっほ、それじゃ、私の家へいらっしゃい…」

違うの…。

そう思っていても体は老婆に付いて行っていた。

 

***********************************************************

 

老婆の家には一人で座るには大きな長いすと大きなテーブルが置いてあった。

そして奥に扉がぽつんとひとつだけあった。

「おばあさん、ご家族は…?」

「今はそんな事関係無いだろう?早くその”顔”を…」

アスラはずっとパニーニャの死体を掴んでることに気が付き、慌てて手を離した。

「おやおや…、乱暴だね、これからこの”顔”があんたの顔になるっていうのに…」

そう言って老婆はパニーニャの死体を引きずって奥の扉へ入っていった。

どうしよう…。

アスラは怖くなって逃げようと思った。

アスラが扉に手をかけると、扉が固定されているかのように扉が開かない。

「こ、壊れたのかしら…?」

そうこうしてるうちに奥の扉から「ガシャンッ!」という大きな音がした。

ギロチンの音だろうか?

アスラは本当に恐ろしくなって、がちゃがちゃと扉の取っ手を開こうとした。

「開いて!開いてよぉ!」

ドンドンと扉と叩いてもウンともスンともいわない。

「もうダメ…、私もきっとギロチンにかけられて殺されるんだわ…」

アスラが諦めて、扉の前に座り込んだ。

 

しばらくすると、奥の扉から老婆が現れた。

手にお皿を持っている。

アスラがもうダメだ。

と、思ったら、老婆はテーブルにそのお皿を置いた。

「さぁ、これをお食べ、そうすればお前さんはあの娘の顔になれる」

アスラは恐る恐るその皿の中身を見た。

どろっとしたゼリーみたいなものが皿に乗っていた。

アスラはこれから死ぬと思ったら、もうどうでもよくなり、そのゼリー状のものを口にした。

一口食べたアスラは驚いた。

まるで、極上の高級デザートを食べてるようだった。

アスラは夢中でそのゼリー状のものを食べた。

「おいしかった…。おばあさん、これは一体…?」

「脳みそさ…」

「え…?」

「あの娘の脳みそだよ…」

それを聞いた瞬間、アスラは吐き気に襲われた。

「そ、そんな…、じゃああれはパニーニャの…」

「そうさ、ちょっと味付けはしたけれどね」

「い、いやァーーー!!!」

「嫌?なぜだい?もうお前さんはあの娘の顔になったんだよ?」

「う、うそよ…!そんな訳…」

老婆は鏡を取り出し、アスラの前にそれを写した。

「パ、パニーニャ…?」

アスラは自分の顔を触ってみた。

確かに指の感触が伝わる。

目も、鼻も、口も、肌もパニーニャそのものだった。

「どうだい?満足かい?」

「そ、そんな…。まさか本当に…?」

「さ、要件は済んだ、これから私は色々やることがあるんでね、お前さんには帰ってもらうよ」

老婆はさっきは開かなかった入り口のドアを開けた。

アスラはふらふらとした足取りで、老婆の家を出て行った。

 

森の中でアスラは頭が混乱していた。

「そ、そんな…、パニーニャは死んだのよ…?私はアスラ…。でも顔はパニーニャ…」

ぶつぶつと呟いているといつの間にか森を出ていた。

 

***********************************************************

 

自分の家についてから気が付いた。

今の私はパニーニャでアスラではない。

ここはもう自分の家ではないのだ。

そんな事を考えていると、後ろから声がした。

「パニーニャ…?」

アスラはドキッとして固まった。

「パニーニャだよね?アスラの家の前で何してるの?…あ!分かった、アスラの花を買いに来たんだね?」

アスラがそっと後ろを振り返るとハンスが立っていた。

「やぁ、パニーニャ、こんにちは」

アスラは焦ってパニーニャのフリをした。

「あ、こ、こんにちは。ハンス」

「どうしたの?もしかして…」

アスラはまたドキッとした。

「…アスラ留守?」

ハンスが気付いたのかと思い驚いたがそうでは無かったらしい。

「そ、そうみたい…」

「そっか…、それじゃまた後で来よう」

ハンスはしょっちゅうアスラの花を買いに来ている。

ハンスはよっぽどあの花を気に入っているようだった。

「それはそうと…」

アスラは三度ドキッとした。

「パニーニャに話したい事があるんだ…」

アスラは何だろうと思った。

「パニーニャ…、僕との婚約の話は無かった事にして欲しいんだ…」

アスラは驚いた。

このままパニーニャでいればハンスと結婚出来ると思ったのに。

「な、なぜ!?」

「僕…、アスラが好きなんだ。いや、愛してるんだと思う」

「花の事も良く分からないのにアスラの家に花を買いに来るのはアスラに会いたいからなんだ」

「そ、そんな…、ウソよ!あんな醜い顔の女のどこがいいの!?」

「顔なんて関係ないさ。僕はアスラの人柄が好きなんだよ。誰も傷つける事の無いとてもやさしい性格がね」

アスラは後悔した。

パニーニャの顔になってしまったことを酷く後悔した。

「…ごめん。パニーニャ…」

気付けばアスラは再び森に向かって走り出していた。

「あ!パニーニャ!」

もう一度あのおばあさんの家に行って私の”顔”を返してもらおう。

アスラは急いだ。

 

*******************************************************

 

ドンドン!

「おばあさん!私の顔を返して!」

「ギィ」と、扉が開いた。

そこには知ってる顔が立っていた。

「わ、私…?」

「私?私はアスラ…、あなたは…パニーニャだっけ?」

「そ、そんな!おばあさんは!?」

「おばあさん?おばあさんなんてこの家には居ないわ」

「その顔を返して!その顔は私の顔よ!」

「これはあんたが望んだことなんだよ…」

アスラの顔をした女が低い声で呟いた。

「返してほしい?なら入りな…」

アスラは勢い良くおばあさんの家に入っていった。

「早く!私の顔を返して!」

「それじゃ…、奥の扉へ入りな…」

そしてアスラは奥の扉へ入っていった。

薄暗い部屋にうっすらと明かりが見えた。

「がちゃり」

「何するの!?」

扉に鍵ををかけられた。

「あなたが逃げないようにね…」

「何を言ってるの!早く私の顔を…!」

そう言って気付いた。

薄暗い部屋に目が慣れて、あたりにあるものがはっきり見えた。

「拷問道具…」

そういえば子供の頃聞いた事があった。

この村には魔女がいて、若い娘を誘惑して付いていった娘は体を奪われて殺されるという話を…。

「お前さん、”顔”を持ってるかい?」魔女がこういったらすぐ逃げろ。

そういう話を村の話家が言っていた。

学校でもあの森には近づくな。

と、言われてた。

その時は単なる子供を怖がらせる噂話だと思っていたけど…。

「…さぁ、今度はこんな醜い”顔”じゃなくて、その美しい”顔”をもらうよ…」

アスラの顔がにたりと笑った…。

 

『アスラの花』 

 

*********************************************************

 

今日のあとがき。

今回は童話チックホラーで。

しかも一話完結に成功!

っていうか長いよね…。

途中で飽きちゃうかな?

っていうか怖くないかな?

脳みそ食らうとか首切断とかグロい表現があるだけで怖くは無いか。

自分的には他人と顔が入れ替わるって怖いと思うんだけどなぁ…。

顔を変えるだけでも怖いよね。

だって今の世の中、誰が整形してるかわかんないでしょ?

分かる人は分かるといいますが…。

もし、自分の嫁や夫が昔整形してて、生まれてきた子供が全然似てなかったら怖くないですか?

それとカテゴリが小説と恋愛になってるけど、ホントは小説とホラー。

ホラーってカテゴリ無かったからわずかばかりの恋愛要素を含めてね。

多分恋愛のカテゴリから見た人は「なんじゃこりゃあ!」ってなりますよね。

裏設定として

 

アスラはスタイルだけはパニーニャと同じくらい良い。

ハンスとパニーニャは政略結婚。

「珍しい花」は魔女の森でしか取れない」

その花畑の下には今までの年老いた魔女の体が幾つも埋めてある。

魔女は年老いるたびに村の娘を毒牙にかけてきた。

今回は、ブスなアスラが来たので、顔を変えてから自分の体にしようと罠を仕掛けた。

 

三人の名前の由来

 

アスラ=阿修羅

これは幾つもの顔を持っているということから。

ハンス=ハンサム

ハンサム→ハンスム→ハンス

こんな感じでテキトーに。

パニーニャ=意味無し!

しかし、相変わらず名前付けには時間かかる。

今回三人しか名前出てこないけどそれでも時間かかったからね。

あと困ったのがタイトル。

始めは『二つの顔』とか『魔女の森』『美貌の仮面』とかそんな安直なタイトルしか思い浮かばなくて、結果最終選考に残った『アスラの花』に決定。

なんかメルヘンチックな名前がいいなぁとか考えてたので、こんな感じで。

タイトルはメルヘンだけど内容はグロテスクっていうのもいいかなと。

まぁ、とりあえず初の試み、童話チックホラー小説『アスラの花』終わり。

それではまた、アスラの花の咲く森で…。

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妄想学院高等部四十五日目(打ち上げ編)

コタロー「え~、という訳で、色々ありましたが、皆さんお疲れさまでした!乾杯!」

全員「かんぱ~い!」

コタロー「いや、ホントにお疲れ様でした」

リカ「納得いかないわね」

コタロー「リ、リカさん?」

リカ「なんでメインヒロインのアタシのエンディングじゃないのよ!」

コタロー「そ、それはまぁ、色々あったんじゃないですかね?」

ケースケ「リカちゃんなんてまだいいぜ、俺なんか最終話の台詞二行だぜ!」

コウジ「まぁ、俺もそんな程度だったな」

リカ「そもそも、何で終盤に出てきたカヅキエンディングなのよ!」

カヅキ「それはワタクシの魅力じゃないかしら~?」

リカ「キー!ムカつく!」

レイカ「皆さんなんてまだいいですよぅ…、私なんて段々フェードアウトしていったんですから…」

レンカ「それを言うならあなたの方がまだいい役じゃない、あたしなんてちょこっとしか出てないんですから」

レイカ「我が娘ながら悲しいです~…」

レンカ「お互い様にね」

コタロー「ま、まぁ、皆いいじゃないか、ホラ各話でそれぞれ活躍したんだからさ」

ミナミ先輩「アタシももうちょっと活躍すると思ってたんだけどぉ~?」

ミサキ「僕もだよ!この作品キャラクターの扱いがぞんざいだよ!」

コタロー「皆、落ち着けって、楽しい打ち上げだろ、ホラ飲め飲め!」

リカ「らいたい、コらローらんて主役はるほろのキャラじゃらいろよ!」

コタロー「リカさんはもう飲まないで下さい…」

リカ「キャラクターの使い捨てよ~、酷いわっ!アタシがどんな思いでこの作品に出たと思ってるの!?」

コタロー「知るかよ…」

ケースケ「大体あの話とかあの話とかあの話に出てきた重要そうなキャラを使い切れてねーじゃねーか!」

コタロー「確かに、重要そうなキャラだけど大した活躍しなかったキャラは大勢いたな」

ケースケ「名前出したなら使い切れよ、シノ先生とか超可哀想なキャラクターじゃねぇか!」

コタロー「あと、屋上の子とかな、名前なんつったっけ?」

コウジ「忘れんなよ、ミサトちゃんだろ?」

コタロー「あ、そうそう、だってキャラ多い方が色んなパターン出来ると思ったんだろ?作者が」

ケースケ「お前は主役だから最後までいい所もっていったよな」

コタロー「まぁ、主役ですから」

コウジ「俺は使い捨てキャラだと思ってたから、まぁ、満足かな」

ケースケ「確かにいいフェードインの仕方してきたよな、お前策士だな」

コウジ「俺のせいじゃねーって、作者のせいだろ?」

コタロー「そうそう、全部作者のせいだって」

カヅキ「でも私もうちょっと出たかったんですけど」

コタロー「カヅキちゃんはいい所持っていったからいいの」

カヅキ「それより、リカがさっきから絡んできてうるさいのよ、はい、コタロー君にあげる」

コタロー「あげるって、モノかよ…」

リカ「カヅキのろこがいいろかひられぇ?アタシのほうが魅力的らと思わない~?」

コタロー「そうですね、僕もリカさんの方が魅力的だと思いますよ(棒読み)」

リカ「そうよねぇ~、やっぱりコらローはわかっれる!」

コタロー「リカさん、ベロベロなんで、ちょっと離れててください、酒臭いです」

リカ「あー!らによぉ!今アタシの方が魅力的らって言ったじゃない~」

コタロー「(誰だ、コイツに酒飲ませたの!リカは酒癖悪いから飲ませるなって言っただろ!)」

ケースケ「いや、俺が飲もうとしたシャンパン気付いたら開けた瞬間にひったくられてラッパ飲みしてた」

コタロー「そんなに最後カヅキに取られたのが悔しかったのかよ…」

カヅキ「やっぱ44日で終わったのは私の死を暗示させたのかな?」

コウジ「ラストはどうでもいいとして、やっぱ途中ぶっこ抜けてるのがマズいんじゃねーの?」

カヅキ「ど、どうでもいい…」

コタロー「あぁ、あの漫才の話ですか…」

ケースケ「あの話は俺が大活躍するハズだったのによぉ!」

コタロー「あの時期作者忙しかったですからね、休んでる間に季節が変わってたんですよ」

ケースケ「じゃあ、今書け!今すぐだ!」

コタロー「残念ながらもう終わってます」

ミナミ先輩「アタシもあの話は活躍出来そうだったのになぁ…」

コウジ「俺はあの話活躍出来なさそうだったから別にいいや」

レイカ「アタシはどっちにしろその話の時点でもうすでに居なかったですぅ…」

レンカ「上に同じ」

コタロー「キミ達はまだいい方だからこの場に居るんだよ、他のキャラは呼んでないから」

ミサキ「僕なんて使うだけ使ってポイじゃないか、横暴だよ、コタローのせいだからね」

コタロー「なんでだよ、俺は作者の敷いた線路の上を歩いただけ」

ミサキ「大体僕が居なかったら、美少女編から幽霊編は無かったんだからね!感謝してもらいたいよ!」

コタロー「へいへい…、感謝してますって…(何で俺ばっか攻められてるんだ?)」

ケースケ「大体カテゴリが恋愛になってるのに恋愛してねーじゃねーか!」

コタロー「ケースケが幽霊に恋したりしたじゃねぇか」

ケースケ「そうだよ!その話をアナザーストーリーとして書いてくれよ!ケースケの恋。みたいな感じでさ、結構ロマンチックな話になると思わないか?」

コタロー「まぁ、ケースケのキャラ設定上無理があるな」

ケースケ「何でだよ!俺結構いい演技してたろ!」

リカ「らいたいコらローがしっかりしらいから…」

ケースケ「コタローばっかり良い思いしてんじゃねーか…」

カヅキ「私も最後死んじゃうしねー、何とかなんないのかなぁ…」

コタロー「えーぃ!うるせー!お前ら次回作に出られなくてもいいのか!」

ケースケ「なにっ!次回作があるのか!?」

コタロー「ふふん、この俺様が、一声かければ作者なんぞちょちょいのドンだ」

コウジ「なら言ってくれよ」

コタロー「わかった…、やい作者!俺たちを次回作にも出せコラ!」

作者「嫌です」

コタロー「………まぁ、こんなこともある」

ケースケ「どこがちょちょいのドンだよ!」

コタロー「ぐぬぬ…、一年間主役やってやったのにこの扱いか!」

ケースケ「ちっ、もしかして作者はもう次回作の構想練ってるんじゃねーか?」

コタロー「俺たちはもう用済みってか…?」

コウジ「そうみたいだな…」

全員「……………」

全員「作者死ねーーー!!!」

その後、全員潰れるまで飲み明かしたとさ。

ちゃんちゃん。

 

終!

 

あとがき

はい、今回は打ち上げという設定で皆さんに出演してもらいました。

これで妄想学院チームは解散です。

今度は学園モノ以外で書きたいので、コタロー君達には悪いんですが、次回作には出番は無しです。

まぁ、ゲスト出演とかはあるかもしれません。

次回作に出すのを嫌ですとは言ったものの、またキャラ設定から始めるにはかなり疲れます。

名前考えるのも一苦労なんで…。

なので、今回の作品のいいとこを切り取って次回作に使いたいと思います。

…そう考えるとコタロー君たちはもの凄い可哀想な役回りだったね。

まぁ、一作目とうことで荒すぎでしたが、最終回を迎えちゃったものは仕方ない。

そもそも最終回も僕自身が意図して終わらしたものじゃなくて、キャラが勝手に動いた結果、終わったといった感じです。

基本何も考えてないですからね、僕自身が。

次回作は、そうですね、ホラーなんてどうでしょう?

怖いものが書けるかどうか分かりませんが、頑張ってみます。

所々に笑いも入れていきたいな、と思ってます。

それと、目標は短編で終わらせる事。

プロトタイプが好評なようなら続きを書く。

っていうスタンスで、どんどん短編を書いていこうかと…。

一回の更新で終わるような。

要するに読みきりですね。

いきなり長編は難しかったですね。

ホラー、ファンタジー、SFと色々書いていきますか。

でも、一回で物語終わらせるのって結構キツいよね…。

まぁ、頑張ります…。

それと、妄想学院高等部が読みたいって奇特な方は検索かけると出てくると思います。

あ~、でも最初からは出てこないかも…。

その時はコメント欄に「妄想学院見せろコノヤロー」とでも書いてもらえると再びアップします。

それでは妄想学院高等部ホントに終わり。

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